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zoom RSS ★量子もつれから時空を生成する計算に成功

<<   作成日時 : 2015/06/03 22:27   >>

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東大は原子力行政を腐らせた原発推進の原子核工学研究室や、巨大地震の予測などできないと宣いながら多額の税金をむさぼり続ける地震研究所のような石潰しばかりではなく、まともな研究室、研究者もいる。
国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構Kavli-IPMUはかなり変わった研究所で、興味深い研究テーマを追いかけていることは知っていた。ごんたは複雑性の物理の進展に期待している。そこから5月末興味深い発表があった。

量子もつれが時空を形成する仕組みを解明〜重力を含む究極の統一理論への新しい視点〜
http://www.ipmu.jp/ja/node/2175

量子力学とその延長線上で記述される「電磁気力」、「弱い相互作用」、「強い相互作用」と重力理論(一般相対性理論)で記述される「重力」の4つの力を統合することは大天才アインシュタインにもできなかった現代物理学最大の課題だ。量子力学と重力理論はブラックホールやビッグバン仮説の示す宇宙の始まりの一点といった極小さい空間で互いに矛盾し、説明できない無限大を生んでしまう。「ブラックホールの情報問題」(注1)や「防火壁問題」(注2)といったディレンマが知られている。

この課題の解決のために、クウォークよりさらに小さいヒモ又は弦の10次元空間が畳み込まれているだの(超ひも理論)、宇宙の初期には時空が光速度を超える速度で拡張しただの(インフレーション宇宙論)、近年の物理学は検証可能な科学を離れて検証不可能なファンタジーの世界に迷い込んでいる。

しかし、ここに一つの可能性が提案されたらしい。Kavli-IPMUの大栗はカリフォルニア工科大学の物理・数学者チームと共同で、量子的効果のひとつである量子のもつれ(注3)から時空を生成させる計算に成功したと発表した。
時空は3次元空間に時間軸を加えたもので、重力レンズ効果などを予言した重力理論にとってなじみ深く、重力が時空を生成するかのようなイメージがあったが、量子力学とはなじみがなかったといっていいのでこの成功は非常に意外だ。

量子もつれとは、異なる場所にある粒子のスピンなどの量子状態が独立に記述できないという現象で、アインシュタインは「奇怪な遠隔作用」と呼んだという。この研究はこの量子もつれという現象こそが重力現象の基礎となる時空を生成するということを示したらしい。物理学雑誌の権威のひとつPhysical Review Lettersがその重要性を認めてEditors Suggestion(注目論文)に選んだという。
一般相対性理論と量子力学を統一する上で図に示すホログラフィー原理によってミクロな世界での重力現象や重力を重力を含まない量子力学の問題として説明でき、また重力の量子化という難問を空間の表面上で重力を含まない別の理論として記述できる、という。

【図1】ホログラフィー原理の模式図: 一般相対性理論では、ある時空に含まれる情報は、その内部ではなく表面に蓄えられるとする原理。この原理を用いると、重力の量子化という難問を、空間の表面に住んでいる、重力を含まない別の理論としてより簡単に定式化することができる。 (credit: 大栗博司)
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【図2】量子もつれと一般相対性理論の間の対応関係: 赤い点は一般相対性理論の時空における局所データを表す。本研究では青い半球で表される量子もつれによってこれを計算する方程式を導いた。 (credit: Jennifer Lin et al.)
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今回研究チームはエネルギー密度のような時空の局所データが量子もつれから計算されることを示した。
これ自体驚きだが、この先時空そのものあるいは重力そのものを導くことができるか?
まだまだ先は長いが、正攻法のアプローチだと思う。
新たなる進展に期待したい。

(注1) ブラックホールの情報問題ブラックホールは質量、電荷、角運動量(スピン)という3つの量だけでしか区別ができないとされる。崩壊してブラックホールになる際に、その物質がどのような特性を持っていたかという情報はすべて失われる。しかし、物理学者スティーブン・ホーキング博士の計算によると、ブラックホールは量子力学的効果によって、熱を持ち、エネルギーを放出することで、質量を失って蒸発してしまうとされる。情報問題とは、ブラックホールを形成した際の物質の特性の情報が、蒸発によって失われてしまうかどうかという問いである。量子力学の原理は情報が失われないことを要請するので、それがホーキング博士の計算とどのようにつじつまがあっているのかが問題なのである。

(注2) 防火壁問題ブラックホールのまわりに事象の地平線ができ、遠方の観測者からは地平線の中の出来事を観測することはできない。量子力学的な効果から、観測者が地平線を無事に越えられるとすると矛盾が起きる。地平線が防火壁の役割を果すべく高温となり、観測者を焼き尽くすのではないかという仮説がある。

(注3) 量子もつれ(量子エンタングルメント)アインシュタインらが1930年代に行った思考実験に端を発する概念。アインシュタイン自身は、量子力学の問題点を指摘するために考え出したものであるが、その後実験でも確認され、最近盛んに研究されている量子情報や量子計算の理論で基本となる考え方である。19世紀までのいわゆる古典物理の世界では、物理的状態に関する情報は、個々の自由度(たとえば粒子の位置や速度)に分解して理解することができた。しかし、量子力学の世界では、物理的状態を分解して理解することができないことがある。たとえば、遠く離れた2つの粒子に関して、一方の粒子についての観測が、もう一方の粒子の観測結果に影響を与えることがある。これを量子もつれと呼ぶ。

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