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zoom RSS MUOGRAPHERS2015講演とシンポジウムを聴いて

<<   作成日時 : 2015/06/24 22:54   >>

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ミューオン測定による火山の透視
わざわざ有給を取って参加したのは、単純に素粒子を使って火山を透視するという話に興味を持ったからだ。
ミューオンμの岩石中の飛程は数Kmなので地下5〜20Kmにあると火山学者が主張する「マグマだまり」の正体を暴くことはできないことも、事前に理解していた。
それでも地球のコア由来のニュートリノの観測による内部構造の把握という話も聞きたかった。

結果としては火山の構造を解明したり、プレートテクトニクスのインチキを暴いたりするのにはまだまだ使えない、というしごく当たり前の話で少しがっかりした。

宇宙線が窒素や酸素の原子核に衝突して生じるミューオンの透過によって数Kmの構造の内部情報を得るミュオグラフィは、火口付近を世界で5か所ほど解析した。

まだ時間解像度が低く、リアルタイムでマグマが上昇する様子をとらえることはできない。
今までまるで分らなかった火山の上部、または低い火山の地上部の内部構造が少し分かるようになった。
時間解像度を上げること、測定器の設置場所を同時に複数置くことで空間解像度も上げられるはずで、より細かく分かる部分も出てくると思う。
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しかし、マグマだまりという仮説を検証するには、原理的に5〜20Kmの地中深くに測定器を設置する必要があり、事実上困難だという。
マグマだまりがあるのかないのか、地中深くを透視するいい方法はないか?

ニュートリノは東北大学のカラムンデの大きさ(カミオカンデと同程度の大きさ)で月に1つしか観測できず、構造を解明するのは不可能だ。
水や油といった安くて大量につかえるシンチレーターでは相互作用が少ないが、かといって光を検出できる比重の大きい透明な不純物のない個体を大量に用意するとなるとコストが大きくなる。

一方、原子核乾板を用いて事故のあった福島第一の原子炉の炉心溶融の状況を透視するという測定はもう少しはっきりわかりそうだ。構造物が大きくないだけにある程度期待できる。
ただこんどは空間分解能が数十cmまで期待できるかどうかという問題があるが…
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フェーズドアレイ・レーダー
放射線を使った解析として、マイクロ波のフェーズドアレイレーダーによる(洪水を引き起こす)雨雲の急発達をリアルタイムで3次元的に測定するという分野についての発表があった。

これは実用にかなり近づいており、大阪大学は大阪市内の自治体に緊急情報をメールするシステムの運用を始めている。
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海から押し寄せる積乱雲が陸上で10分20分の間に4〜6Kmの高層で急発達し、それが1〜2kmの下層に降下してきた時に局所的な大雨を降らせるという。だから4〜6Kmの高層に大量の水分が検出されたときに、その雨雲の降下先の地域に警戒警報を出すことができる。

阪大の牛尾氏によると、広島市での昨年の大災害では数10mの幅の沢・尾根・沢で降り方がまるで異なったことを上げ、空間分解能をさらに上げていく必要があるという。

災害のシミュレーターは実際の災害をみて、本当の危機感を抱くようだ。


その他の電磁波による応用利用
電磁波は周波数によって透過物が異なるため、水分密度を見分ける以外にも、NCIITの井口氏は噴火している火山の上空を飛行機で飛んで煙がない地面の撮影をして火口の大きさを捉えたりしている。
千葉大学のJophat氏は無人飛行機で地盤沈下量を測定してJAICAなどとも協力してインドネシアやマレーシアの市街や郊外の高速道路、高圧線鉄塔などインフラのの危険予知に役立てており、感心した。


火山・地震の事前予測ついて
今回はNature主催のNature Cafeというシンポジウムで一般人が多く参加していて、一般の人から色々な質問が出た。その中で最大の関心はやはり火山の噴火予知、地震の予知だった。当たり前だろう。

しかし、ミュオグラフは医者にとってのレントゲン装置のようなもので、この火山はこういう状態の時は大丈夫だが、こういう時には噴火するということを知っているような地元の医者がいなければ、ミュオグラフィで透視できたところで事前避難にはつながらない。

火山の噴火はそれぞれでまるで異なっており、統一的なものはない。
2003年の洞爺湖噴火の際には、地元の火山研究家がこれは危ないと提言したため、付近の村落は一人の被害もなく非難できたという。
こういう研究者が火山ごとにいないと、いくら測定器の精度が上がっても事前避難=減災はできないだろう。

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