人口再生産のコストに関する基本的な考え方と政策

DiamondOnline13年9月10日『「出産したらお辞めなさい」曽野綾子氏に反論続々
女性が望む“働きやすい社会”は遠のくか、近づくか』では
http://diamond.jp/articles/-/41426
曾野綾子13年9月週刊現代8月31日号への記事
『なんでも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ』(本ページ下段に転記)
の紹介と反論が出ている。他にもAreaや弁護士伊藤和子氏等の反論もあったらしい。
僕はそれを見逃していて今頃気が付いたのだが、これに関連して考えを整理してみた。

曾野綾子の文章を読むと世代間の価値のギャップを痛感する。
本当は僕は氏の価値観に近く、若い人の考えは気に入らないのだが、
少子化対策の政策立案がもつべき思想は別個に考えなければならない。

技術革新の加速がもたらす生活スタイルの急速な変化が、世代間の価値の継承を困難にしている。
ビジネスの世界で必要な要件も変化が激しく、礼儀も作法もガラガラと変わってきている。
それでもビジネスは収益を生まなければならないから、一定部分の価値は変わっていないが、
コミュニケーションのスタイルは大きく様変わりしていて、個人の考え方も変わっている。
派遣法が成立して以来、企業の中に安価な賃金で働く非正規従業員が増え、
以前には考えられなかったモラルの低下も起こっている。
日本では当たり前とされてきた「安全・衛生第一」が食品製造の現場で失われ、
「人に迷惑をかけない」ことが基本的ルールだった日本社会でもとんでもない犯罪を多発している。
それでも前の世代はどうしてもある種の「価値」を次の世代に引き渡していかなければならない。
中国人が日本に来れば、町の清潔さ、社会の秩序正しさ、人の礼儀正しさ、人の親切さに感心するが、
年寄りの日本人から見ればどんどん悪くなってきている。
引き渡さなければならない「価値」は明示的に示していかなければならない。

結婚するのは自分の金銭的な時間的な自由が奪われるのでしない とか、
(結婚相手がいても)子供を産むのは時間的、金銭的に損だからやめておく、
といった考え方、価値観が蔓延してしまえば社会も国が成り立たなくなり、
結果的に企業も成り立たなくなる。(あと25年もつ企業がどれだけあるかは知らないが)
だから、国も社会も企業も人口再生産のコストを支払わなければならない。
若い世代に仕事を与え、その収入によって結婚できるようにしてやらねばいけない。
家庭を持って子育てするためには収入と時間を与えてやらなければならない。
企業が従業員に対して支払う賃金は好き勝手なものは許されない。
企業が従業員を働かせる時間も好き勝手なものは許されない。
それは人口再生産のコストであり、その社会的なコストを支払わない企業は許されない。
コストが上がれば国際競争力が失われて企業が成り立たない、だから労務費を極力抑制するという企業は人口再生産のコストを支払いながらいかに国際競争できる商品・サービスを生み出すか、に経営課題を移行させなければならない。
出産で一度退職した女性が2,3年後に同じ会社に復職することをさせない企業は許されない。
これは制度化しなければいけないし、義務化しなければいけない。
出産・子育て世代の総労働時間を少なくして企業活動が成り立つように企業は雪渓変更する必要がある。
子供を産むたびに新たな会社を探すのに苦労するのでは、子供は一人しか生まれない。

企業の究極命題は短期的利益の極大化だというのは間違っている
日本ではそれは経営者が自分の評価を上げたい(下げたくない)口実に過ぎない。
前にも書いたが、労働流動性の低い日本での企業の究極命題は雇用すること=従業員の生活を守ることである。
うちの会社は国内の働き手がなくなったら海外から人材を取るからコストを払わない、というなら国はその企業をブラックに認定して税金を高くして海外に追い出すしかない。
どのみち海外の人材を国内で労働力として使うには、語学習得、住居の提供、生活のサポート等多額のコストが必要になる。
海外の事業費率が高く、海外の労働者を多く使っている企業は「国を維持するためのコスト」は国内の事業規模に応じた分だけ払えばよい。

もしある企業が結婚適齢の労働者を過剰な労働時間を強制して子育てするパートナーを見つける
可能性を奪っていたりすれば、たとえ賃金を払っていてもまず労働基準法で摘発しなければならない。
もしそれが賃金の面でも不当で結婚することも子育てすることもできない低賃金であったら、その企業は人口再生産を阻むブラック企業である。 国はそんな企業の存続を許してはならない
国の存続に必要な企業が支払うべきコストとは人口再生産に必要なコストであり、労働者の側から見れば時間と所得だ。
国と同様企業も人口再生産に関するコストを払わなければならない。
日本企業のビジョンが最近揺らいでいるが、こと人口再生産に関する限り、従来の欧米の企業経営と日本企業の企業経営は一線を画すべきである。
欧米企業においては企業は株主のものであるが、日本企業では企業は経営者と従業員のものである。
日本では企業は多少の業績悪化ぐらいでは安易に従業員を解雇できない。
それは株主が願っても、社会が許さないからだ。
株主利益からすれば、人口再生産のコストなど現在株価に何の影響もせず、払いたくもないだろう。
しかし、日本では払わせるべきである。
人口再生産に関するコストを払わない企業は全て潰すべきである。

人口再生産税
もちろんどんなにブラックな企業であっても、国が直接一企業に対して解散命令は出せないから、課税という手段をとる。
法人税は税引き後当期利益がプラスの会社だけが対象だが、利益と関係ない事業者税を作るしかない。
人口再生産税という名称でよい。
25歳から35歳までの若い正社員、非正規社員全ての人数に対して人口再生産性を評価して頭数に掛け算して課税する。
具体的な計算式と税額はこれから検討する。
人口再生産性が高く人口増加率2.0以上に相当するなら減税して奨励すればよい。
ひょっとすると日本の大半の企業はブラック企業で増税になるかもしれない。
ただし、母子家庭に対しては国はもっと補助しなければいけないだろう。
母子家庭の母親に朝から深夜まで働けというのでは子供の教育上問題が生じる。
先日川崎の13歳の中学生が悪い友人グループを抜け出そうとして残忍な殺され方をした事件があったが、夜遅くまで働く母親に心配かけないように子供が悩みを隠していた。母親は仕事に追われて自分の子供が学校に行っていないことすら知らなかったのかもしれない。
貧困は犯罪を生む。
犯罪が生まれないように学校だけでなく近隣の大人たちももっと子どもを見守るべきだが、母子家庭の母親が朝から晩まで働かずに子供の状態を管理できるような環境を整備するのは、国や自治体が税金によってコストを支払うべき筋合いのものだ。

現在の外食産業の大半のような低価格=低賃金の職種は社会の人口再生産を阻むものであり、潰されるべきだろう。そういう産業では労働時間も子育てに協力できるよう昼前後と夜に分ける必要がある。
生後1年~就学前の子供がいる男性従業員が1日の長時間拘束されるのであれば、子育ての手伝いができないため、女性が一人で家事と子育てをしなければならない。
であれば、男性従業員には一人で家族を養えるだけの賃金を与えなければならない。
人材派遣業も日本の企業である限り人口再生産に関する社会的なコストは支払わせなければならない。
本人の希望で1週間に3日しか仕事をしたくないというのなら、その人に対しては結婚資金をためる収入を確保してやる義務はないが、本人が週5日間、40時間以上働いて結婚して子供を持ちたいという希望なら、それだけの仕事を与えられなければブラック企業である。


母子家庭というのは大抵男性のDVなどの問題によるものだが、そもそもそういうコストは国が(社会が)代わりに払うべきなのであろうか?
本来はその問題のある男性に払わせるべきものなのだ。
そのコストの追求は女性でなくて社会が代行してやるべきだろう。
社会としてはそのような人間を許してはならない。
二度と悪さをしないようにコストをむしり取ってやるべきかもしれない。
そして、そういう悪い見本が社会的制裁を受けることを公表していかねばならない。


出産したらお辞めなさい」曽野綾子氏
社会に出て、自立して生きる女性は増えている。男性と肩を並べ、仕事をこなす。
「女だからって差別しないで」、と願ったのは彼女たちだったのに。今やモンスター社員と化した女子社員に、物申す。

最近、マタニティ・ハラスメントという言葉をよく耳にするようになりました。マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね。
妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめを指す言葉ですが、この問題に対し、企業側は、反対意見を言えないよう言論を封じ込められているようです。

しかし、このような問題の現実を正視しないでいるようでは、女性は本当の意味で社会進出できないでしょう。
経済の単位である会社には、男も女もないんですから。

そもそも実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理なんです。
なぜなら、赤ちゃんは始終熱を出す。大抵はたいしたことないですけど、母親としては心配です。

その場合、「すみません、早退させてください」となるのは無理もありません。
でも、そのたびに「どうぞ、急いで帰りなさい」と快く送り出せる会社ばかりではないはずです。

ですから、女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。
そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。
⇒2・3年後再就職を希望する元社員に対して会社が雇用することを義務化するべきだと思う。
 企業は出産した女性が復職するまで子育てが終わった女性などを充当し引き継ぎ教育をし、出産した女性が戻ってくればまた教育しなければならない。出産、子育て適齢期の女性が雇用コストのかかるものとして常識化しなければならない。でなければ国が亡びる。

私の家では今までに女性秘書が3人勤めてくれましたが、全員が今うちに「再就職」をしているんです。
結婚と同時に辞め、子どもが中学にあがるくらいになった頃、復帰してもらいました。お互いに相手のことがわかっていますから、雇うほうも楽ですしね。

それにしても、会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか――。
子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。
⇒会社に迷惑をかけるのを心苦しいと感じる女性が大半だが、「当然の権利」と居直る女性も一部いる。
  その一部に対するいじめがマタハラとして問題にもなっている。
 有給を取るのは法律上公然の権利。体の具合が悪いので休む、医者に行くのは有給がなくても人権問題。
 これに対するマタハラ(いじめや嫌がらせ)は人権問題として取り締まらなければならない。
 出産3,4か月前から産休を取れるべきであり、そうしなければ少子化対策はできない。

この考え方が、私とは少し違うんです。というのも、私たちが若くして子育てをした頃は、みんな貧乏暮らしをするものでした。
6畳一間のアパートで新婚生活を始めて、子どもが生まれて手狭になると、やっとローンを組んで家を買う。これが当たり前でした。

本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然なんです。
それを、「子どもは国の宝なんだから、国がちゃんと面倒をみろ」と主張するのは、少し考え違いだと思います。

子どもは、貯金を減らすなり、ほかのことに使っていたお金を減らすなりして、育てるものです。

同じような観点から考えると、ふくれ上がる保育所の待機児童の問題も異常だと思うのです。
子どもは、自分の家で育てるものです。だから昔は、みんな親と同居していたでしょう。

そうすれば、おばあちゃんに子どもをみてもらって、お母さんは買い物にだって行ける。
事実、私自身もそうやって仕事をしながら子供を育てました。

ところが、いまの若い人は親と同居したくないし、収入が減るのも嫌だから、保育所に子どもを預けて働くのが当然というわけです。
そして、「働く母親のためにもっと保育所を増やせ、待機児童をなんとかしろ」とおっしゃる。

国家もその方向で動くでしょうが、本来子どもを育てるのは親個人です。保育所はあった方がいい。
けれど、できるだけ長い時間、親は子どもと一緒にいるべきなんです。

また、彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。
⇒産休制度は会社のためにあるのではない。個人の権利であり、少子化対策の根幹の一つ
産休は、いつからいつまでと期間を決めて、会社を休みます。辞めてしまって、ずっといなくなるというのなら新しい人材を補填すれば済むけれど、
そういうわけにもいかない。結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーしないといけません。

こんなことでは、女性を責任あるポストに置くわけにいかないのも当然でしょう。

今の人間は昔の人間と違って、恵まれて育ったため男も女も我慢ができない。
「あまえったれ」である。
「経済的に損だから結婚しない、子供を産まない」という考え方、風潮を放置していたら人口は減少し続ける。

このまま放っておいたら、次の世代、次の次の世代は財政破たんで大変なことになる。
そうさせない最大限の努力をするのが今の世代の責任である。
それが現世代利益の極大化でなく≪次の世代に利益を先送りする≫思想の根本である。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック