巨大開発プロジェクトの難しさ

旅客航空機プロジェクト
三菱グループの命運がかかったMRJ(三菱リージョナルジェット)の開発プロジェクトが遅れている。
プロペラ式国産旅客機YS-11が初飛行してから半世紀も経過していて、旅客機をゼロから作ることを知っている人はいまや日本には誰もいない。
三菱重工は自衛隊機を設計・製造する経験値は十分にあるが、旅客機の方が初期から規格や規制をクリアしていくのが大変らしい。
初号機の引き渡し期限はこの8月の発表で4回目の延期となった。当初から見ると4年も遅れているという。

日経ビジネスの9月11日の記事
「MRJ」計画遅延の本当の理由
要因は経営陣のマネジメント力不足か?

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130909/253177/?P=1
によると、「旅客機だから」という理由以前の問題がいろいろあるらしい。
重工にごろごろいる東大卒が課題・危機感の共有を阻み、解決を遅らせた面も大きいという。
大丈夫か?重工。
自分は優秀、自分は偉い、とふんぞり返っている奴は開発に入らない。
三菱の「お高く留まった姿勢」を自ら突き崩さないとだめだろう。
東大卒というのは実は自分らが世間では大した実力がないことを自認できず、しかも保身に走るというどうしようもない気質が見受けられる。
個人的な印象だが、重工はそれが社風に強く出てしまっている。

寺島実郎も、もはや三井だ三菱だといっていないでオールジャパンで支援して成功させなければならないと言っていたが、賛成だ。優秀な戦闘機や軍艦を作っていたころの重工はもっと自由闊達な開発環境だったのではないか?

旅客航空機産業における日本のシェアはゼロとはいえないが、ボーイング社のお手伝い(機体の一部を製造)だけでいわば部品産業だ。
組み立て会社としてシェアを取り、いずれはエンジンと電子制御機器を製造できるようになりたいものである
このMRJのもあり、重工が立ち行かなくなるぐらいの損失になる可能性もある。
まさに重工の命運がかかっているプロジェクトだし、重工には力を取り戻してほしい。
発注してくれた会社はカナダやブラジルや中国でなく「日本だから」いいものを作ると期待して注文してくれているのだ。
なんとか成功してほしいものだ。

この8月にはようやく「旅客機を開発してFAAの型式証明審査を受けたことのある海外の経験者」を10名弱取り入れたらしいが、遅い!!そんなことは5年以上前から見えていいたはずだ。
現場の危機感が経営陣に共有されておらず、マネジメントが機能していない
プライドが邪魔をしてという言い訳は通用しない。
知らないことを知らないでいると、海外のアビオニクス(航空電子機器)などの調達先から馬鹿にされて物事が先に進まなかった、というところだろう。
なりふり構っていてはいけない。

重工業種でない、ただの自動車会社のホンダには正直期待していなかったが、それでもなりふり構わず8人乗りのホンダジェッの開発にまい進して、FAA(米国連邦航空局)の型式証明の一歩手前までこぎつけた。(15年3月、 米国子会社ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は、FAA(米国連邦航空局)の事前型式証明(PTC)を取得したと発表)
これがビジネス上どうなのかは不明だが、航空機開発プロジェクトとしてはすばらしいことだ。



巨大洋上風力発電開発プロジェクト
半世紀造ったことのない旅客機を作るということでさえとてつもなく困難なものだが、今オールジャパンでもっとハイリスクな開発プロジェクトが進行している。
(参加企業は丸紅、東大、商事、重工、ジャパンマリンU(IHI系)、三井造船、新日鐵住金、日立、古河電機、清水建設、みずほ、と大どころがみんな入っている)
福島の沖合20kmに高さ200mの巨大な風車を回す風力発電所を何十機も立てる作るというものだ。
最初この話を聞いた時、正直、このプロジェクトを立ち上げた経産省の課長は頭がおかしいんじゃないかと思った
無謀だ。

ヨーロッパで再生可能エネルギーの最も大きな部分を占める風力発電は、ヨーロッパの遠浅の海に常時7・8mの風が吹くという理想的な気象・地形環境で実現てきている。
日本では30年ほどあちこちに発電風車を立てたが今動いているものはほとんどない。台風などの時折の強風で大半が壊れてしまっているのだ。
日本には風力発電に最適なイギリス、フランス、ベルギー~オランダの沿岸のような常時7・8mの風が吹くような沿岸はない。
風力発電というのは時々風が吹くだけではコストが合わない。常時吹くかどうかが重要だ。

が、よくよく調査したところ、房総半島の沖合から福島の沖合20~30kmの地域は常時そのくらいの風速の風があるという。
それなら、原発の爆発でやられてしまった福島の沖合に風車を立てよう。それもでかい方が経済性が高いから高さ200mで10MW発電できる風車を立てて回してみよう、(実証が)うまくいったら、いわきあたりに風車工場と造船所を作って100基位作って沖合に並べて発電しよう。そうすれば福島の経済復興に貢献できるし、原発が動かないため使われなくなった福島の(東京に伸びている)送電網を生かすことができる。
これがそのプロジェクトの趣旨だ

全体概要は以下のアドレスにHPがある。
福島洋上風力コンソーシアム
http://www.fukushima-forward.jp/index.html

*福島原発の発電容量は10基合計で850万kW以上もあったので、その容量分だけの巨大な変電送電施設が今は宙に浮いている。

40階建てのマンションの高さが約100mなのだから、200mの高さの建築というのはそんじょそこらにはない。そんなものを海底の基礎を打たずに船で浮かべて(浮体式)ぶんぶん回転させるというのだから、既存の技術では考えられない部分が多い。
「やってみないと分からない」のだ。
それに経産省が100億もの金を出して「実証」してみようというのである。
とんでもない話だ。
しかし、このように巨大にすること自体は電力料金を14円/kWhという化石燃料と同程度の安さを狙っていることであり、太陽光発電のように補助金なしでは50円以上と高くつくものに比べればはるかにまともな話だ。
成功すれば、だが…

ただし、この「成功すれば」というのは台風が来てもひっくりかえらず、ブレード(風車の羽)やローター(回転軸)が壊れない、ということなのだから、本当に心配だ。
風車を支える船の大きさが大きければひっくり返ることはないだろうが、瞬間風速60m、80mという風は、たかが電線の享ける風の抵抗だけで鉄筋コンクリートの電柱をへし折ってしまうのだから、非常な破壊力がある。
風車は風向に対して正対するように常に向きを変える仕組みだが、竜巻のようなときにはその機構があってもどうもならない。
ある場合には回転軸が海に対して垂直に立ち上がってブレードが海と水平に回転するなるような角度可変の構造だったらいいのだろうか?…


とにかく、開発プロジェクトの中で最も大きな167mの風車はすでに「船」に乗って曳航されていき、9月半ば、もうそろそろ福島の沖合に設置完了の予定ということだ。

スマート・ジャパン6月23日記事
超大型の洋上風力が福島沖へ、直径167メートルの風車で12月に発電開始
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/23/news020.html

うまく行ってほしい。
こっちのプロジェクトはMRJとちがい、バクチ的要素が強い。
日本の風力発電は欧州、米国のメーカーに完全に立ち遅れている。中国メーカーにさえ先を行かれている。それを、着床式でなく浮揚式で一発逆転を狙いに行くようなものだ。
MRJとちがってマスコミに知られていないので、なかなか進捗が伝わってこず、いじいじしている。
うまく行ってほしい

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