恐るべき中国の戦略 2049China

エドワード・ルトワック『自滅する中国』を読んでほっとしていた人は、本当の中国の怖さを知らずに安心してしまうところだった。
マイケル・ピルズベリーの『2049China』を読まなければ。


つい2年前までの40年の長きにわたって、米国の国防総省の高官、軍事顧問として人民解放軍上層部と直接交流してきた中国政治・軍部研究家のピルズベリーの話は身の毛のよだつ話だ。
孫子の兵法、「勢」、囲碁の戦略だとか、そりゃ~米国人にはわからないだろうよと、最初のうちはそれを恐ろしがる著者を鼻で笑っていられた。しかし、中国人指導者たちが何代にもわたって『ある一貫した目的』を持って経済・外交・軍事研究を続けてきた、その一貫した目的とは『復讐』であり『覇権国(米国)を負かすこと』であり、『世界を支配すること』である、となると笑い事では済まされない。

≪邪悪≫この言葉しか思いつかない。

軍隊在籍経験があり世界3本指に入る軍事戦略家ルトワックがバカにしていた中国・戦国時代の孫子などの兵法によって、実は米国は何十年もの間だまされ続け、軍事技術や経済拡大のための投資を中国に与えさせられ続けさせられてきたのだという。
ルトワックは中国が南シナ海に軍の施設を作るなどして進出すればするほど、日本・オーストラリア・ベトナム・インドなどの連携が強化され、逆に「包囲」されて身動きが取れなくなる、という趣旨で『自滅する中国』を書いた。実際安部首相が積極的な外交を展開してまさにそのように進んでいる。
そこまでいったらそれ以上進めないというのがルトワックの読みで、所詮中国古代の戦略なんて高が知れてる、と断言していたわけだが、そんな簡単な話ではなかった。

中国の一部指導部にとって2049年というのは100年マラソンの最終年だという。
毛沢東以降の中国指導部は百年以上前に征服され屈服させられた覇権国・米国への『復讐』を誓い、戦国時代の戦略にのっとって覇権国を騙し、利用してここまでのし上がってきた。

中ソが対立していた当時、キッシンジャーが仲介しニクソンが訪中してソ連を勝たさないために国交正常化し、中国に肩入れを始めた。これは米国にとってはベトナム戦争の終結のために中国を利用したことになっているが、実は毛が図って招き入れたのだという。
以来一貫して、今はまだだが、中国はソ連とは違いいずれ自由選挙を行い自分たちと同じ民主主義国家になる、そう信じさせ、安心させて欧米の投資を集め、生産技術、情報技術、軍事技術を吸収し続けてきた
そういえば80年代90年代には中国の首脳はよく「中国はいかなる派遣も求めない」などと言っていた。
ピルズベリーによると全ては復讐と再(?)支配のための100年マラソン上のうそだったのだ。


中国人は我々日本人や米国人と全く価値観が違う点が一点ある。
「うそをつく」「相手をだます」のは悪い事でない、相手によっては正しい事だ、という価値観だ。

これには日本人だけでなく、人のいい米国人も非常に大勢騙されてきた。
米国はよりによって自国の地位転覆を図り『世界を支配する』野望を抱いた国の経済成長を促進し、軍事技術を与え続けて来てしまったのだった。
著者は、(中国に対する)米国の戦略が「米国の歴史の中で最も組織的かつ重大で、危険な失敗だった」としている。

これに関して4月14日のWall Street Journalの記事『米国、対中政策の失敗から学ぶ教訓』は核心をついていなかった。
http://jp.wsj.com/articles/SB12553795185919473670004580580040684212702
<WSJ記事からの引用>
中国経済は10年以内に米国経済を追い抜くだろう。この力学を反映するように、中国では急ピッチで海軍増強が進められる一方、米国では軍事予算が縮小している。中国は今すぐにでも、大陸間弾道ミサイルを完全装備した潜水艦を初めて展開させ、米国本土に照準を定めることができるのだ。
<引用終わり>


ピルズベリーによると、彼らのやり方はこんなやりかたをしなくても勝つ用意をしている。
中国は軍事力がまだ米国の10分の1であり戦力的に完全に非対称な現時点でも勝てる手段・≪殺手閒≫を構築しつつあるらしい。
ピルズベリーはどんな軍幹部からもこの≪殺手閒≫の正確な進捗状況を聞き出すことはできなかったというが、亡命者等の証言からその武器の中身は次のようなもので、すでに実用間近な段階であるという。

〇コンピュータ・ウィルスによる相手国の電力、通信、インフラ系統の停止・破壊、金融システムの停止ないし預金引き出し
〇相手国人工衛星の地上ミサイルによる破壊、自国人工衛星からの破壊
〇超音速飛翔体による相手国航空母艦の破壊(航続距離1200Kmの範囲)
 この速度だと現在の米国の技術では迎撃できないという
〇EMP(電磁パルス)攻撃による相手電子機器の破壊
 ※これが北朝鮮にでも作れるできそこない原子爆弾なのか、そのビームを照射する高度なものなのか不明
〇ブラックボックスによる戦闘機のレーダー逆探知攻撃妨害
〇射程距離9Kmの対艦超高速魚雷(これももし完成すれば米軍が対処できないものとなるらしい)


米国政府(大統領と国防総省)も米国軍も、この本が今年初めに出版されて、この恐ろしい話が共有化され始めたようで、ようやくこの秋に南シナ海の中国の軍事施設の12カイリ以内を艦船が航行するという『高校の自由作戦』を行う意思決定をしたようだ。
シリアで振り上げた手をロシアに言い負かされて振り下ろせなかった弱腰のオバマが、中国との対立を仰ぐことをするわけないと見ていたが、共和党のみならず民主党からの圧力も高まったのだろう。

もしEMPが既に実践配備されていて、万が一の衝突になってEMPが使われたら、米国海軍の艦船は戦うことなく沈められてしまうはずだ。それを目撃した見方の航空機も母艦にも基地にも戻ることはできない。

これからの戦争はこういう武器があることを前提に行動しなければならなくなる。開発途上の射程距離が100kmしかないレーザー兵器やレールガンが出る幕はない。
高度のステルス戦闘機(有人または無人)がEMP攻撃もウィルス攻撃も受けない場合のみ、人工衛星による誘導も使わず直接目視で標的を叩くことができる。
いざ「それ」が始まったら、見方の人工衛星が無事である可能性は低い。


お人よしの米国は時間をかけて恐ろしい怪物を育ててしまった。
彼らには武士道も騎士道もない。
勝つのに綺麗とかかきたないかいって手段を選ぶわけがない。

彼らのターゲットは米国である。
もちろん『復讐』の対象のリストの先頭は日本だろう。


日本は北朝鮮、韓国どころではない、とてつもない怪物と海を隔てて対峙していたのだった。
日本は安全保障戦略をゼロから構築しなおす必要がある。
中期的に直接衝突で米国が勝てない相手にどう立ち向かうのか


まず、日本の政府高官はすべからくこの本を読まなければならないだろう。
こういう論調は今年のForeign Affaires には一度も出てこなかった。
米国も「中国の真の意図を理解した」とは対外的に知られない必要があると見える。

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