なぜマイナス金利の円が買われ円高になるのか?

日銀がマイナス金利政策を発表した直後は、円が安くなり株も上がった。
しかし次第に円が買われて高くなってきており、今日は112円まで上昇してしまっている。
日銀の政策そのものが中途半端であるのを見透かされたという感もあるが、市場はドルは危ない、円の方が安全と感じているらしい。

これはおかしな話だ。
マイナス金利は次第に波及してきていて、先日は10年物国債でさえ▲0.03%とマイナス金利になってしまった。
長期金利も低下している。円など持っていると損なことは間違いない。
しかも、ドルは12月に金利を0.25%というプラスに上げたばかりだ。
なのに何故円を買いたがるのか?日本国債を買いたがるのか?
日本なんてGDPの20倍の借金だと言われているのに怖くないのか?

いくつかの記事を読むと、近々の危険度が
日本<米国<ヨーロッパ(ドイツ)
と読まれている、そういう雰囲気に染まっていることが分かった。
「日本が借金まみれで危険な国」という財務省の虚言が既に一部にばれているのかもしれない。

次の記事に上手な日本、米国、ドイツの比較が出ている。

Money Voice 2016年2月11日
黒田日銀の「大誤算」~マイナス金利で円高・株安が起きた真の理由
=吉田繁治
http://www.mag2.com/p/money/7378/

この記事によると、3つの局での12月末と2月10日の時点の為替、長期金利、株価は次のようになる。

米国
ドル指数(ドルの相対価値)
 12月末 100 → 2月10日 96 に下落
長期金利
 2.23% → 1.75% 0.48%も下落 ←日本の倍下落している ←利上げにもかかわらず、市場からは利下げを要求されている
株価
 1万7720$ → 1万6027$ 9.5%下落

日本
円JPY
 12月末 120.5円 →  2月10日 114.5円 ドルに対し5%上昇
長期金利
 0.25%    → ▲0.03%  0.28%下落
株価
 1万8982円 → 1万5700円 17%下落 (1円円高で300~500円下落)

ドイツ
ユーロ€
 12月末 1.09€/$ 2月10日 1.13€/$ ドルに対して30%安
長期金利
 0.6%      → 0.2%  0.4%下落
ドイツDAX
 1万700€   → 8939€ 16%下落


1)米国の問題はジャンク債(ハイイールド債)市場の崩壊の危険
米国のシェールガス・オイル採掘会社が掘削のための資金を社債で調達しているが、リスクが高いためジャンク債市場で扱われている。
本来の金利は10%程度なのだが、高金利を求めて買い手が多く、金利がどんどん下がって2%まで落ちてきているという。(そんなばかな!)
金利が下がれば買い手が増えて、7年間で2倍の2兆ドルまでジャンク債(ハイイールド債)市場は膨らんだという。
しかし、このところの原油価格下落で、掘削会社の大半は採算割れと見られており、償還できずにパンクするリスクが迫っている。
サブプライムローンの時のようにいくつものリスクの異なるジャンク債をまとめてCBO(Collateralized Bond Obligatio)という手口で販売されており、日本の銀行にも販売されているという。

エネルギー関連のジャンク債は約3000億ドルといわれ、崩壊したサブプライムローンの残高1.3兆ドルに比べれば一回り小さい。
小さいが米国にとってはそれ自体痛手だし、それだけでなく、パンクしてジャンク債の金利が正常値に上昇した時、正常な企業の社債金利も上昇させるような影響を与える可能性もある。
アップルなどの優良企業は超低金利の社債で資金を調達して自社株買いをすることで株価をつり上げてきているが、その戦略が裏目に出る可能性もある。
歌津のブラックホールが衝突したことによる重力波より、この波の方がショックがはるかに大きいだろう。

※この話は「またデリバティブでバブル」という記事で3月18日にブログに書いていたが、その後呼び方が変わったらしい。

このジャンク債よりも大きい話がドイツ銀行の話だ。
前のブログでもドイツ銀行の危機を書いたが、調べてみると詳細はもっと厳しいらしい。
VW(フォルクスワーゲン)の不正による損失は2兆ドルともいわれている。
成長エンジンのドイツが悪くなればヨーロッパは全滅だ。
だからドルよりユーロの方がさらに安くなってきている。

2)ドイツ銀行破たんのリスク
ドイツ銀行はドイツ第一の民間銀行で総資産は200兆円、世界第4位の銀行であり、ヨーロッパや世界に対する影響は大きい。

中国株による巨大損失で2015年12月期は、68億ユーロ(8800億円)の赤字となった。
16年度の配当を中止し3500人の人員整理(12月16日のブログで紹介)。
株価は15年4月の33ドルから16年1月には14ドルと半分以下まで下げた。

ドイツ銀行は、LIBOR不正の損害賠償支払いや不良債権増加による財務が悪化しているため、株価の暴落が止まらなくなっている。ドイツ銀行は、数千兆円のデリバティブ契約を抱えているため、損失拡大による倒産が懸念されている。
デリバティブはギリシャ救済のために発行したもので、ドイツの信用を元に大量に買われた。
個別契約で、内容が十分把握されていないうえ、終わってみないとどれぐらいの損になるのか分からないという。

パンクした時に当局の救済義務がないCOCO(ココ)債の売りが止まらないという。ドイツ銀行は買い取りを示唆しているが、買い取れるかどうか不明だという。

ドイツ銀のCoCo債保有者、リスク移転の当局の意図にやっと気付
ブルームバーグ2016/02/11 18:10 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2DI1W6TTDS201.html

Reuter Column | 2016年 02月 10日 11:48 JST
関連トピックス: トップニュース
コラム:問題児に転落したドイツ銀のハイブリッド債
http://jp.reuters.com/article/column-deutsche-bank-hybrids-idJPKCN0VJ04M


ロイターやブルームバーグに叩かれ続けている異常事態では、相当悪い状況なのだろう。
16年度が乗り切れるかどうか誰に分からない、といった記事もある。


中国はリセッションに入っているが、ドイツも危機的状況になってきている。
昨年100万人も流入してしまった難民の扱いについてこれから財政的にも政治的にも困難が続くはずだ。

米国も原油安で頼みのシェールガスも、採掘会社が潰れては売れもしなくなり、デュポンやBASFが米国内に製造工場を移転したのは何だったのか分からなくなる、というのでは成長期待もなくなる。
下手したら優良企業の株価も危ない。

という情勢のようだ。
市場は米国金利はマイナスではないかと主張している(長期金利が実質▲0.48%)。
3月のFRB会合でイエレンの決断は非常に難しくなってきた。

日銀がドルを買って円を売る円安誘導に走ろうにも、この環境では円安誘導は難しい。
米国のジャンク債市場が一度パンクするまでは我慢するしかない。
3月決算で対して輸出比重が高くない製造業企業も今回の決算は見込み外れになり、16年度予定していた税収はかなり縮小してしまうかもしれないが、それはそれでしかたがないだろう。

世界を見渡して悪い事ばかりしか見えない。
今の市場はそういう雰囲気だ。

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