米中の総力戦型の戦争 政財界よ、いい加減に目を覚ませ

米国のペンス副大統領は昨年10月4日、ワシントンで、貿易など経済に限らず安全保障分野でも、中国に「断固として立ち向かう」と演説した。かつての米ソ冷戦の始まりを告げた1946年のチャーチルの「鉄のカーテン」演説に匹敵する歴史的出来事と注目された。
小生はマイケル・ ピルズベリー のChina2049(The Hundred-Year Marathon: China's Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower. (2015).)の危機感がようやく政権内・共和党内に行きわたったと感じたものだった。

内容は以下の記事参照。
米副大統領の演説は、実は対中国への「本気の宣戦布告」だった
ついに「米中新冷戦」が始まった

現代ビジネス18年10月12日 長谷川 幸洋
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57929

そして4月には超党派の新たな委員会を発足させたという次の記事が出た。
「中国とは共存できない!」米国が危機委員会を設置
「共産党政権下の中国とは共存できない」と断言

JBpress 2019.5.8(水) 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56310

記事によると、
<以下引用>
 委員会の名称は「Committee on the Present Danger: China(CPDC)」、直訳すれば「現在の危機に関する委員会:中国」である。組織としては3月末に設立され、実際の活動は4月から始まった。

・この委員会は、中国共産党の誤った支配下にある中華人民共和国の実存的な脅威について、米国の国民と政策立案者たちを教育し、情報を与えるための自主的で超党派の努力を進める。
・その目的は、加速する軍事拡張や、米国の国民、実業界、政界、メディアなどを標的とする情報工作と政治闘争、サイバー戦争、経済戦争などから成る中国の脅威を説明することにある。

委員会の使命や活動目的などに関しては、以下のように打ち出していた。
・共産党政権下の中国は米国の基本的な 価値観である民主主義や自由を否定する点でもはや共存は不可能であり、米国官民が一致してその脅威と戦わねばならない。
・中国政権は東西冷戦中のソ連共産党政権と同様に米国の存在自体に挑戦する危機であり、米国側は軍事、外交、経済、科学、文化などすべての面で対決しなければならない。
・中国のこの脅威に対して米国側ではまだその危険性への正確な認識が確立されていないため、当委員会は議会やメディア、国民一般への広範で体系的な教宣活動を進める。
 同委員会は以上のように「現在の共産党政権下の中国との共存は不可能」と断じており、中国との全面的な対決を促し、中国共産党政権の打倒を目指すという基本方針までも明確にしている。
<引用終わり>

ピアズベリーの語った中国の恐ろしさは共和党だけでなく民主党でも完全に共有されたようだ。中国から資金援助を受けた議員が中国のスパイとして糾弾され追放されつつある。
米国政界は変わった。仮にトランプ大統領が去っても中国に対する冷戦は引き継がれるだろう。

中国共産党は数十年前から100年マラソンで『米国打倒』を目指して《5つの戦争》を続けてきていたので、米ソの冷戦とは質的に異なる。

対ソ連冷戦とは質の異なる冷戦
ロシアと異なり、中国は世界の工場としてGDP世界2位にまで経済成長し、さらに工業技術だけでなく先端技術も盗み続け、軍事だけでなく、外交、経済、技術、情報の分野でも覇権を取ろうとしている。ソ連は領土を守ること=軍事力を第一に考えていていたので経済や技術の覇権などは考えもしなかった。ソ連は米国内に味方を作るような工作をしなかったが、中国は多くの議員を懐柔し、クリントン夫妻やオバマさえ投資話で巧みに抱き込み、全米の大学に資金提供する代わりに孔子学院なるプロパガンダ組織を送り込んで反中活動の芽を摘んできた。こうした恐るべき策略によって、米国は中国が 南シナ海に基地を作り上げるのを黙認させられたのだ。これは大きな失敗だったが、過去の民主党政権は軍事情報でさえ易々と中国に渡してきたのが現実である。


正直に言うと現状では米国は軍事衝突で中国に負ける可能性がある。ペンタゴンのシミュレーションでは米国は中国に南シナ海の局地戦で敗北している。米国の弾道弾ミサイルや中距離トマホークなどはGPS衛星による誘導で的中精度を上げているが、中国は衛星破壊衛星や衛星破壊ミサイルを保有しているので、いざとなると米軍の誘導兵器を無能化できる。https://otasuke.biglobe.ne.jp/?utm_source=webryblog&utm_medium=banner&utm_campaign=houmon-wblg-201804
中国に情報の覇権を取られることは自由主義陣営にとっては恐るべきことである。世界の5G中継基地や5G対応スマホが中国製になったら中国共産党の監視社会に組み入れられてしまう可能性がある。また中国のAIが米国のAIを抜くようなことになれば、米国は将来、軍事的にも外交的にも中国に太刀打ちできなくなってしまうかもしれない。https://otasuke.biglobe.ne.jp/?utm_source=webryblog&utm_medium=banner&utm_campaign=houmon-wblg-201804

一方中国は共産主義政権にもかかわらず自由貿易を騙り資本主義陣営の仲間のふりをしてきた点、ソ連との冷戦に比べて戦い方が難しい。米国としてはこれ以上中国を経済的にも軍事的にも成長させたくはないので、中国との貿易を縮小し先端技術の流出を抑えたいが、日本や欧州が中国との貿易や技術交流を縮小しない限り、中国の経済力・軍事力を縮小することができない。中国は経済成長している限り軍事力を強化し続けるから、米国一国だけの努力では中国を止められないのだ。

米国の狙いは単なる関税の引き上げだけではない。中国の経済力、技術力、軍事力を縮小させるすなわち国力を奪うことだ。
これは単なる貿易戦争などではない。
歴史上かつてないような外交・経済・技術・情報・軍事の総力戦型の戦争だ。



中国に対する不思議な親近感
日本人には何故か今の中国に親近感を持つ人が多い。
企業人だけでなく政治家やマスメディア、評論家さえそうなのだからあきれる。
中国共産党がチベットに何をしたのか?ウィグル族に何をしているのか?
なぜ今頃になって全ての国内企業に共産党の支部を作らせるのか?
今の大量の街頭カメラとAIを駆使した監視社会はどうなのか?
交渉や説得でどうにかなる相手だと思っている?
それができるなら反日教育を親日教育に変えてみせてほしい。

昔政治や文化を模倣させてもらった相手だから恩返しをしたい?
だったら文化交流だけにしておくべきだ。
相手は気に入らないことがあれば愚連隊を組織して反日デモを行い、大使館や在中日本企業を襲わせることもするし、いまだに日本に200発以上の弾道ミサイルの照準を合わせつつ、仲良くしましょうと懐柔してきているのだ。
そういう国家(政権)がこれ以上強くなったら、自分の国がどうなるのか安全保障を真剣に考えるべきだ。

小生は対中国に関しては日本は安全保障上米国に頼らざるを得ないと考えている。
トランプがどんなに下品であって三歳児以下の知性と呼ばれたとしても、クリントンやオバマと違って中国に対して完全な対決姿勢で臨んでいることを高く評価している。
米国が中国の思い通りにおだてられ操られていったら、(太平洋の西半分は中国が管理するなどといって)日本の方が先に飲み込まれるところだった。

GoogleやAmazonは確かに個人情報を盗用しているが、利用はあくまで自社の商業利用目的の範囲にとどまる。
米国にはまだ思想や言論の自由がある。
中国にはそれがない。

今、米国と中国が戦争している。
中国は以前から相手に気が付かせずに長いこと戦ってきたが、ようやく米国が攻撃されていることに気が付いて反撃に出始めたところだ。
どちらの側につくべきか?
日本という国の将来を考える時どちらを選ぶべきかそれは明らかだろう。


政界、財界は自国の置かれた立場を考えるべき
日本は米国の同盟国だからこそ、中国との貿易量を減らし、先端技術に限らず技術供与を制限するよう米国は日本に要求してくるだろうし、それに応えるのが日本政府として当然だ
どの国とも仲良くする、仲良くできるなどと理想主義リベラルに逃避することは同盟国としては許されない。

日本も米国の委員会のように政界や財界やメディアを教育啓蒙していく委員会を作ってもらいたい。しかし、旧民主党、共産党やNHKをはじめとするマスメディアに中国かぶれが多いので抵抗されるかもしれない。自民党や公明党の一部にも未だに中国シンパがいるらしい。

製造業者は既に生産コスト(賃金)が上がってきた生産拠点としての中国に見切りをつけてサプライチェーンを変更してきているが、成長する中国にもっと原材料・部品・製品を売ろうともくろんでいる企業も多いと思う。食品や日用品・化粧品は問題ないだろうが、半導体製造装置関連や電子部品・材料などは結果的に国益に反する可能性がある。
そういうものの輸出を制限するようになると、当然相手は食品や日用品・化粧品に報復関税をかけるようになるかもしれない。
あるいは韓国のように観光目的の渡航に制限をかけてくるかもしれない。
訪日外国人3000万人突破というお祝いもあっさり終わるかもしれない。
もうそういう段階に入ろうとしている。
いい加減に目を覚ましてほしい

不透明なEUの動向
日本が同盟国として米国に歩調を合わせるとして、欧州はどうだろうか?
イギリスは同盟国として南シナ海の警備に軍艦を派遣してくれるようになったが、EU、特にドイツが歩調を合わせてくるかどうかは不透明だ。メルケルはEUで一人抜け駆けしてロシアの天然ガスを引き込もうとしているし、中国では習近平に取り入ってVW(フォルクスワーゲン)などが独り勝ちしてきた。EUにとっては中国は距離的に離れているため安全保障上の脅威とは考えにくいのだ。米国がNATOへのより高い支出を要求しているのに対して中国が揺さぶりをかけてきたら同盟関係が揺らぐ可能性はある。輸出立国であるドイツにとっては中国は日本以上にGDPの大きな柱だからだ。

政権打倒の可能性
経済政策だけでうまくいかないとなれば、米国は共産党政権を打倒することを目標にしたいところだ。
環境汚染の拡大、大卒者の就職難、少子高齢化など共産党一党支配がうまく続きそうもない気配はいくらでもあるが、経済の好調が続く限りは難しいだろう。
今の中国共産党政権は選挙で選ばれたものでもなく正統性は経済以外に何もないので、経済運営に失敗させれば国民はそっぽを向き、政権打倒圧力は簡単に高まる。
逆に経済に破綻が起きなければ、国民の政権打倒圧力はそこまで高まらないだろう。
また、習近平一派と権利を縮小させられている軍属(長老・江沢民が率いていた)との衝突を画策する方法もある。習近平によって各軍区の陸軍部隊は大きく縮小させられ7つの軍区は5つに統合され、軍幹部は利権を失い続けて不満を持っている。共産党軍内の軍区間の内戦にもちこめればいいのだが、内部に台湾の諜報員が多数入り込んでいるとしても何のきっかけもない平時には工作は難しいだろう。

最終的な局面での起こりうる軍事衝突
貿易戦争や技術供与の削減に成功して中国の経済が行き詰まってきたら、共産党政権は不満を持つ国民に外を向かせるため軍事的な作戦に打って出るだろう。
(実はその時が内部から政権を転覆させる最大の好機となる。習近平は戦闘開始を全国放送で宣言するので居場所を特定しやすいし、台湾を侵攻しようとする軍区の部隊を大陸後方の軍区が攻撃するのが効率的だからだ)
台湾に侵攻するという可能性は平時の今でも相当高い。
トランプ政権も第4世代戦闘機F-16などの武器供与を計画するなどして重要視している。(クリントンやオバマは中国を立てて台湾に高度な武器を提供してこなかった)
台湾侵攻の際には、米国は日本に集団自衛権の行使を要求するだろう。
そもそも台湾進攻について政府は米国とシナリオを共有しているのかどうか心配だが、米軍への燃料や水の補給だけではすまされない。米軍は前線へまず潜水艦の投入を要求してくると考えられる。日本の潜水艦とその操縦技術は米中の原潜より静穏性に優れているため、敵に気付かれずに大陸から艦船や兵士を乗せた民間借上げの船が台湾に押しかけられないよう機雷を設置する作業に当たれるだろう。陸上自衛隊の車両搭載型の12式地対艦ミサイルは射程百数十kmだが米軍が持っていない接近阻止戦略兵器なので要請されるかもしれない。
相手はこれまでも尖閣諸島だけでなく沖縄も中国の固有領土などと宣言しているのであって、台湾が落とされたら次は沖縄が狙われるのは必定であり、台湾防衛は他人ごとではない。
ところがこのこと(台湾での集団自衛権の行使や台湾→沖縄という防衛ライン)について、政府は国民のコンセンサスを得ていない。
そういうところを日ごろから委員会が啓蒙・教育していかないといけない
だろう。
同様に中国が南シナ海に軍事基地を作り3000mの滑走路まで作ってしまっていることも、日本の中東からの原油輸送ルート上のことで、安全保障にかかわる問題である。

なお台湾での衝突に関していえば、中国が最新鋭のロシアの高性能ミサイル(注)導入を計画しているにもかかわらず、米軍側は楽観視しているらしい。
大陸から台湾に艦船が渡れる期間が1年のうち気象条件が良好な4月と10月の計8週間ほどしかないこと、台湾の諜報員が大陸内部に相当数入っていて、侵攻の動きがあれば約30日は事前にキャッチできること、などがその理由だ。
ロシアの最新式ミサイルや戦闘機、弾薬の物量では中国が有利で台湾の基地を灰にするだけの力があるが、30日あれば台湾は兵士や武器を移動して隠すことができ、上陸を阻止することが十分可能だという事らしい。
次の記事参照。
台湾は人民解放軍の上陸作戦に勝てる
Taiwan Can Win a War With China
NewsWeek 2018年10月4日(木)17時10分
タナー・グリーア(フォーリン・ポリシー誌記者)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11060.php

注)ロシア製地対空ミサイルS400 射程距離400km、ステルス性能ミサイル、高性能レーダーシステム、6つの目標(戦闘機や巡航ミサイル)を同時に撃墜可能。射程距離だけでもパトリオットの2倍の性能


外務省は『2049China』を読み直して中国と米国を分析しなおして政府に報告し、政府自民党はそれに基づいて、中国が何を狙っているのかという事、対中戦略で「同盟国として米国に協調する」ということや「中国と総力戦の戦争状態に入る」ことは、のちのちどういう事態が起こりうるかというこも国民に知らしめ、教育・啓蒙していくべきであろう。

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