情報を公開して国民の理解を求めるべき

 4月7日の厚労省発表までのデータで国内の各地の現状と予測をまとめた。
首都圏や近畿圏などでの緊急事態宣言によるブレーキは遅すぎたし、その宣言もデータを示さず何を言っているか分からず、リーダーシップのかけらもない、哀れなほどお粗末なものだった。「(仕事はしてもいいけど)人に会うのは8割減らす」?出すべきメッセージはそんなものではない。ここまで感染が拡大してしまったら、仕事に行かなくていいように休業手当を出すのが政府の仕事だ。
 政府や厚労省が現状を示す分かりやすいデータを開示しないので、危機感が伝わってこない。その代わりになるもを示せればと考える。それはこれまでの現状とこのままいったらどうなるかだ。

 次図にダイヤモンドプリンセス号をのぞく、日本国内の実感染者数(感染者数から死亡、退院を除いたその時点の正味の対象者)の推移と、その日々の単純平均増加率、5日間移動平均増加率の推移を示す。データは東洋経済新報社の「新型コロナウイルス国内感染の状況」(毎日の12:00時点の集計数字)による
日本国内.png
 増加率は日々大きく上下するので、5日間ごとにその平均値をとって移動させたものを見る方が、全体の流れをつかみやすい。(5日間移動平均という)
 テレビはどこも発生感染者の推移ばかり出すが、ただ増えていくだけのグラフではだからどうなのかが分からない。注目すべきなのは増加率が増えているのか減っているのかだ。上の図では3月の20日までの2週間、増加率は順調に減ってきていた。そのまま続いていけば増加率がマイナスになって感染者数が減少に転じるはずだった。しかし20日以降増加率は4%から11%まで急上昇してしまった。自粛疲れなのか、お花見で人混みや飲み会が増えたのか分からない。そもそも厚労省のやり方が具合の悪い人全員を検査する全数調査でなくクラスターしか追いかけない、感染者が少ない時だけ有効なやり方であるため、知らないところで感染者が増えてきていただけかもしれない。外出するなといいながら夜の飲み会が続いていたせいかもしれない。厚労省のやり方では検査を受けさせてもらえない人があちこち出歩いて感染をまき散らすことも起こる。直近でようやく少し頭打ちしたかもしれないが10%とまだ増加率が高すぎる。
 いずれにしても、国内全体としてはこれから大きく減らしていかなければならない。増加率がマイナスにならない限り戦いの終わりは見えてこないのだ。

 のんびりしてはいられない。都道府県別に見るともう医療崩壊の地獄に入ってしまったところ、あるいは地獄の入口がみえているところがある

1.関東地方
 グラフをたくさん作るのも手間なので現状と近い将来予測を一つにしたグラフで統一した。
 次図は東京都の3月19日からの実感染者数とその移動平均の推移と、直近の予測である。図中、当初の医療限界とは厚労省のHPにでている都道府県別の第2種感染症指定病院の病床数による。死亡・退院した人を除く無症状者・軽症者(肺炎に至らないもの)が全体の8割という中国の数字を当てはめれば、入院が必要なのは実感染者の2割となる。したがって東京の感染症対策のできた陰圧室の病床数が100床ならば、実感染者500人が当初の医療限界となる。図では(以下どの都道府県でも)黄色い線の移動平均増加率を左軸で見るほかは、実感染者数や医療限界(限界実感染者数)は右の軸で目盛りを見ることになる。(左右の軸の目盛りはそろっていないので注意が必要)
愛知県.png東京都.png
 3月28日から4月1日にかけて増加率が急増したため、東京都の累計の実感染者数は当初の医療限界をすでに超え、さらにその倍も超えてしまった。無症状者・軽症者はホテル等で監視する(最悪自宅隔離)として、入院・治療が必要な肺炎患者はもはや一般病棟の患者を別の病院に追い出して入院させるしか方策がなくなっている。4月8日以降は直近3日の増加率の一番小さい数字と大きい数字で線を引いた予測だ。悪い方の予測だと17%でどんどん増えてしまい、1週間で実感染者が4000人まで増えてしまう。これでは病院の手配など間に合うわけがない。良い方の予測でも8%ずつ複利計算で増えてゆく。
 感染者の5%が重篤化するという中国の統計を当てはめれば、2000人の感染者に対して人工呼吸器又はICUが100は必要になる。これらの設備数が第二の医療限界となるかもしれない。日本の人口当たりのICUの数ははイタリアより少ないという。
 今日4月8日の夕方、東京都医師会長が緊急事態宣言を記者会見して、すでに院内感染が複数出ていると警告している。これが地獄の入り口のあいさつだ。一般病棟にはN95マスクや防護服、フェイスマスク、消毒用アルコールを十分に備蓄しているとは期待できない。医師や看護師も一回や2回の講習で100%の感染症予防の対応ができるわけではない。だから、当初の医療限界を超えると院内感染事故が起こり始める。新型コロナウィルス感染者が急激に増えるという事は看板を付け替えた病棟が次々とできるという事で、訓練や備蓄の準備も十分にする余裕もないということだ。
 院内感染すると感染した医師や看護師は2週間戦列を離れ、さらにほかの医療スタッフの仕事量が増えてしまう。大規模な院内感染を起こすと病棟丸ごと4週間の休業措置となったりしてさらにほかの医師看護師に負担がかかる。一番つらいのは不眠不休の医師や看護師が感染で亡くなって医療キャパシティが失われていくことだ。これが何週間も続く。イタリア、スペイン、フランス、イギリス、米国…これらの国々の医師たちもこの地獄の中にいる。毎日泣きながら仕事している。まだトンネルの出口が見えていない。

 東京都の医師たちが近隣県に応援を要請できる状況ではないという非常に厳しい状況にある。
 神奈川県もその地獄の入り口が見えている。次図は神奈川の同様のグラフ。
神奈川県.png
 神奈川県の移動平均増加率は上昇して休んで上昇して休んでという非常に悪いパターンになっていて、もうすぐ当初の医療限界(第2種感染症指定病院の病床数)を超えてしまう。こんな状況では東京都が仮に応援要請を出しても県としては受けられない。それどころではない。
 直近3日間の増加率の少ない方は6%、多い方は16%なのでまだまだ増えてしまう。県知事は中等症患者向けの病床を1000床用意する計画といっているが、1000床で足りるためには最短16日までに増加率がゼロ以下になってくれないといけない。
医療関係者が知りたいのはいつになったら実感染者数の増加率がマイナスになるかという事だ。今のようなペースではいけない。完全にゼロまで降ろすのにあと何日かかるだろうか?

 次図は埼玉県の同様のグラフ。
埼玉県.png
 埼玉県も神奈川県同様悪いパターンだ。そして当初の医療限界はもうすぐ超えてしまう。直近3日間の増加率は小さい方で8%、大きい方で17%ある。神奈川県と同じ事態だが、埼玉県は医療体制(一般病棟の明け渡し)の準備が遅れているという。まずい。東京都どころではない。

 次図は千葉県の同様の図。
千葉県.png
 千葉県は3月の最後に障がい者施設での大規模なクラスターが見つかって一気にまずくなった。ここは8日に当初の医療限界を超えただろう。移動平均増加率は大クラスターの大きな山のあとに持ち直したが、直近では7~10%とまた増加傾向がある。もっと抑え込まなければいけない。

 緊急事態宣言の対象から外れたが、茨城県もまずい状況にある。
茨城県.png
 茨城県では3月の終わりと4月の初めに大きな増加があったため、医療限界が近づいてきている。非常事態宣言でも緊急事態宣言でもなんでも出して、医療体制の整備を進めておくとともに今すぐに県民の意識にブレーキをかけておく必要があるだろう。

 次図は群馬県と栃木県を合わせたものを見たものである。これら2県は関東地方の中ではまだ安心していられる。
群馬栃木.png
 両県ともこれまで落ち着いた推移できている。増加率で見ると10%を超えた時期があったが、水準が低かったので問題ではなかった。まだ当初の医療限界には十分余裕がある。しかし、直近3日のデータでは11%と高い数字もあるので動向には注意していく必要がある。

2.近畿地方
 次図は大阪府の現状と直近の将来予想のグラフ。
大阪府.png
 大阪府も東京都と同様、当初の医療限界(第2種感染症指定病院の病床数)を超えてしまったところだ。多少の救いなのは直近3日間の増加率が東京都よりは6%~15%とやや低いことだ。そうはいってもこの先増加が続くなら2000床ぐらいは用意しておかないと後がなくなる厳しい状況ではある。なにより感染者を減らすことだ。

 次図は兵庫県の同様のグラフ。
兵庫県.png
 兵庫県も当初の医療限界の7日の時点で直前まで迫ってきている。8日にはおそらく超えているだろう。感染者用の病床を1000床程度は準備しておかないと、後がなくなる状況だ。

 緊急事態宣言の範囲に入っていなかったが、京都府も次図に示すように医療限界に到達しつつある。
京都府.png
 京都府は直近3日間で7%~20%と振れ幅が大きく、直近の将来予想も不確実性が大きい。悪い方を予期して医療体制を準備しておかねばならないし、府民に対して意識のブレーキをかけるために緊急事態宣言を出す必要があるだろう。
政府お抱えの専門家連中はクラスターでとらえられているからこちらは大丈夫などと訳の分からないことを言っているが、医療限界を超えるのは事実であり、京都府も緊急事態宣言して府民の意識にブレーキをかけるべきである。

 和歌山県、奈良県、滋賀県の3県については次図に示すように、まだ医療限界に余裕がある。
和歌山奈良滋賀.png
 これからブレーキがかかれば十分に間に合う。緊急事態宣言だか非常事態宣言というのは本来こういうタイミングで出すべきなのだ。ブレーキをかけてもすぐには止まらない。10日~2週間して初めて減速効果が表れる。
注)ストップをかけてもすぐに効果が表れないこういう現象をオーバーシュートというのが本来の科学技術用語南極上空のオゾン層が消えかかっているのを防ぐためにオゾン層破壊物質のフロンなどが国際的に禁止されたが、効果が表れるのに10年以上かかった。そういう場合に用いる言葉。

3.愛知県、福岡県、石川県、福井県
 今日のニュースで愛知県知事が明日、県独自に非常事態宣言を出すと会見していたが、国に対して緊急事態宣言の範囲に加えるよう要求しているようだが、これが知事たるものの本来の動きである。次図に示すように愛知県も状況は切迫している。
愛知県.png
 愛知県は当初の医療限界に対して余裕はまだあるが、平均増加率が上昇しており、ここで抑え込まないと医療崩壊の地獄に入り込むことになる。直近3日間の増加率は3%~13%と幅があり、悪いケースでは1週間程度で第2種感染症指定病院の病床数のキャパシティの倍まで感染者が増えてしまう危険性がある。やや遅いが、こういうタイミングで情報を公開し、これだけ危険になっていますと県民に訴えるべきだろう。

 次図は愛知県の周辺である岐阜県、三重県、静岡県3県を合計した状況を示した。
岐阜三重静岡.png
 3県では感染者が発生しても先に感染者が回復して退院するなどして実感染者数はそれほど増えずに来ており、医療限界まで十分余裕がある。直近では1日増加率15%という日があったがこういう日が続かなければ当分は心配ないかもしれない。

 次図は緊急事態宣言に含まれた福岡県のものだ。
福岡県.png
 福岡県知事も何度か会見を開いて県民に注意喚起してきたが、医療限界が迫ってきた。直近3日では増加率に4%~20%と開きがあり、先が読みにくい。最悪のケースでは1週間ほどで当初の第2種感染症指定病院の病床数の倍以上の実感染者数になってしまうだろう。遅すぎたが、ブレーキを目いっぱいかけなければならない。

 参考までに福岡県の近隣県の佐賀県、熊本県、大分県の3県をまとめた様子を次図に示す。
佐賀熊本大分県.png
 これら3県は(大分県で病院の大きな院内感染があったものの)実感染者数は医療限界の8~12%にとどまっており、直近の増加率も4%~7%と落ち着いているので、当分安心できるレベルにある。したがって首都圏、関西圏と異なり、福岡県が医療崩壊の危機に瀕すれば近隣3県に支援してもらうことができるだろう。


 緊急事態宣言に含まれなかったが、調べてみると石川県と福井県も危険な状況であることが分かった。
石川県のこれまでの推移と今後の予測を次図に示す。
石川県.png
 これはもう憂慮すべき状況だ。移動平均増加率は強い上昇傾向にあり、直近3日間の増加率は少ない方で10%、多い方は20%もあり、予断を許さない。第2種感染症指定病院の病床数は18床だけなので医療限界となる実感染者はそれを0.2で割った90人である。あと1週間余裕があるかどうかも今後次第だ。遅きに失するが、緊急事態宣言または非常事態宣言を出し県民に現状を示し意識のブレーキをかけるべきだろう。首都圏や関西圏と異なり隣接県との出入りは多くないだろうから、効果は上げやすいだろう。

 次図は同じく福井県の現状と直近の将来予測である。
福井県.png
 福井県も第2種感染症指定病院の病床数は18床だけで、医療限界が見えてきている。しかし直近3日間の増加率は10%~14%と高いので、じきに医療限界を超えてしまうと思われる。政府が何と言おうと緊急事態宣言または非常事態宣言を出し県民の意識にブレーキをかけなければいけない


 安部首相はじめ政府と自民党は経済を止めずにこの危機が乗り切れると信じているらしい。
韓国や台湾は仕事を止めずに都市封鎖もせずにうまくやれたではないか?というのだろう。
しかし、日本の感染者の増加の実情はお粗末だ。「自粛」で感染者が減らなければ次の「強制停止指示」の手段も用意しておくべきだろう。
日本は労働者の大半が中小企業に属していてITの活用もできず、都市封鎖をしたらたちまち収入がなくなるというのなら、イタリア、スペイン、イギリス、フランス、ドイツ、米国はそうじゃないというのか?それでも強制力を持って経済を停止してでも感染者を減らそうとしている。

 イギリスは休業の労働者に賃金の7割を保証するとしているが、安倍首相は日本にはそれはできないという。推測だが、財務省べったりの副総理が大規模な国債発行を認めないからではないか? 財務省の役人どもは国民の命よりIMFのいいなりの債務削減が重要らしい。ギリシャやイタリアと違い日本の国債の大半は国民が買っているものだ。今回のものも中国など他国に買わせなければいいだけの話だ。
 それともこの際だから高齢者や糖尿病患者をこの国から一掃して医療費を大幅に削減して年金制度も更新しようという隠された意図があるのか? そこまで腹をくくっていたら大したものだ。ちょうどいい機会ではある。「最善を尽くしましたが残念な結果となりました」再選はされないが、オリンピックはできる?いや、来年の夏までに世界中にワクチンが行きわたると想定するのには無理があるだろう。

 何が本心だったとしても、明確な自分の言葉で国民を納得させられないなら、リーダーの資格はない

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