外出自粛解除できるところとできないところ(2)

 この記事は前回ブログの続きである。前回ブログでは緊急事態宣言の外出自粛要請や営業停止要請を1週間後には解除できる地域が東北6県と関東の1県、東海の2県あるところまで見た。この記事ではその続きで、北陸地方から西の日本各地を見ていく。

6.北陸地方
 意外にも北陸3県は新型コロナウィルスに関してはホットスポットというべき地域だ。中国人観光客が多かったとは思えないし、首都圏や近畿の大都市からの人の往来がそれほど多いとも思えないが、なぜか大きく感染拡大したので、筆者も追跡を続けている。

富山県は富山市民病院のクラスターの影響か、4月24日あたりでようやくピークアウトした。神奈川・千葉・埼玉の第2ピークでも4月17日、18日だからそれよりも遅い。そのためまだ感染者数そのものの減少はこれからというところだ。
※以下のEXCELのグラフで青線と灰色線が重なるところは灰色だけになってしまった。見にくいがご容赦願いたい。
富山県の推移.png
石川県は4月11日にピークアウトしているがその減少は緩やかで先が長く、退院はまだこれかららしい。
石川県の推移.png
福井県は感染者数の減少が早く、退院も増えはじめている。
福井県の推移.png

 感染者数から退院数、死亡数を引いた実感染者数の直近3日の増加率は富山県が1.2~5.3%、石川県が1.4~3.4%とまだピークアウトしていないのに対して、福井県だけは-37.3~1.9%と減少傾向がはっきりしている。福井県の直近5日間の平均増加率は-8.8%と安心できる。
富山県の今後の予測.png
福井県の今後の予測.png
 あと1週間で正常な医療体制(感染者を第2種感染症指定病院だけに限定できる体制)に持っていけるかどうかは別にしても、福井県の医療関係者はほっとしていると思う。
 以上見たように北陸3県のうち少なくとも富山県と石川県は1週間後に外出自粛を緩和できる状態とはいえない。まだ先が長い。
福井県は前回ブログの岐阜県同様ぎりぎりのタイミングになるので、筆者の考えでは首相や取り巻きの専門家が指図する問題でなく、現場を知る県知事と医師会が協議して外出自粛を延長するかどうか判断すればよいと考える。

7.近畿地方
 特別警戒区域である大阪府、兵庫県、京都府は緊急事態宣言後の自粛により感染の抑制効果が出ている。しかし、退院数が増えておらず、病床はいっぱいの状況だ。
大阪府の推移.png兵庫県の推移.png京都府の推移.png
 感染者数から退院数、死亡数を引いた実感染者数の直近3日間の増加率を見ると、大阪府で0.8~1.4%、兵庫県で-1.1~2.3%、京都府で-0.7~11.0%とほぼピークアウトして減少し始める頃合いに見える。実感染者が減少する、とは病床に空きが出てくるということだ(自宅静養者が陰性になることも含まれるが)。次の京都府の図のように移動平均増加率がマイナスで実感染者が減っていく状況は安心できる。下図で当初医療限界のラインが京都府内のもともとの第2種感染症指定病院の病床数だ。そこまで入院数が減少するにはまだ3週間以上かかるかもしれない。京都府でそれだから、大阪府や兵庫県はより時間を要すると考えられる。
京都府の今後の推移.png

 近畿地方の他の3県滋賀県、奈良県、和歌山県は数は少ないものの、安心できる状態ではない。感染者数は減っているが、退院数が増えてこないと収束期とは言えない。
滋賀県の推移.png奈良県の推移.png和歌山県の推移.png
 滋賀県、奈良県は山の形がはっきりしているが、和歌山県のようなグラフはまずい。減少しているとも言えず少数の感染者がぽつぽつ出続けていて、結果に多様な状態がだらだら続いている。どんなに数が少なくてもだらだら続くのは悪い。入院すれば退院するまで最短で2週間、平均4週間を要するので、一般病棟にどんどん感染者を入れていかねばならず、院内感染のリスクは地域全体で上がっていく。
 以上見たように、近畿地方ではあと1週間で外出自粛を解除できる状態になる府県はないと考える。しかし滋賀、奈良、和歌山は大阪、兵庫、京都より早く解除できるだろう。ただし、大阪、兵庫、京都に入ってはいけないという限定条件付きだ。

8.中国地方
 移動平均をとったグラフの形を見れば広島県と山口県がきれいな減少傾向になっていて、岡山県は形が悪い。
広島県の推移.png岡山県の推移.png山口県の推移.png
 広島県はもとの第2種感染症指定病院の病床数28に対して入院等の数が128人と多いので、まだ外出自粛を解除するには早すぎる。これらの入院等が100人程度退院するまでは医療キャパに余裕ができないので、外出自粛、営業自粛を続ける必要がある。

 一方感染者を陰圧室である第2種感染症指定病院だけに限定する正常な医療体制の実現という意味では、岡山県と山口県は現時点(28日時点)でも入院数が指定病院の病床数に収まっている(岡山は指定病床数22に対して入院数17、山口は指定病床数38に対して入院数9)ので、そもそも緊急事態宣言の外出自粛が必要だったかどうか疑わしい。5月6日以降どうするかは県知事が県内の医師会と協議して決めるのが良いだろう。
 鳥取、島根県も同様に感染者数が少なく、28日時点で島根県で指定病床数28に対して入院数21、鳥取県で指定病床数10に対して入院数2だ。岡山、山口と合わせこれら4県は5月6日以降解除するかどうかは県知事と地元医師会で協議して決めればよい。
 外出自粛や営業自粛を解除、学校等を再開するにしても、手洗いとマスク、身の回りの消毒が基本で、できるだけ「3密」を避けること、そして肝心なことは広島、大阪、兵庫、福岡といった地域内、地域外の感染地域(緊急事態継続地域)に入らないことを強く要請しなければいけない全部の自粛を解除などはいずれにしてもあり得ない

9.四国地方
 四国地方では高知県だけが当初の医療限界(第2種感染症指定病院の病床数9)を入院数42が上回っている。つまり医療体制が緊急事態にある。また香川県も指定病床数22に対して入院数21とぎりぎりのところだ。
高知県の推移.png香川県の推移.png
 高知県は一般病棟の入院者が退院又は指定病院に転院し終わり正常な医療体制に戻るまでまだ時間を要するので、5月6日に解除は無理だろう。香川県はあと1週間で十分解除できる状態になると考えられる。
 残りの愛媛県、徳島県は第2種感染症指定病院の病床数25,21に対して入院数がそれぞれ20人、2人と十分収まっているので、このままいけば自粛解除できるだろう。高知県以外の県知事は地元医師会と協議して何を自粛して何を解除するか、学校をどう運営するかなど協議して決めていただきたい。

10.九州・沖縄地方
 この地域で入院等の数が当初の医療限界(第2種感染症指定病院の病床数)をオーバーしているのは、28日時点では、福岡県と佐賀県、沖縄県だけだ。
福岡県の推移.png

 福岡県は特別警戒区域に指定されてから感染者数は大きく減ったが、まだ退院数は少なく正常な医療体制に戻るには時間がかかりそうだ。しかし実感染者数(感染者数から退院数、死亡数を除いた正味の感染者)は減少し始めており、このままこの状態を維持して一般病棟の病床を空けていきたいところだ。(直近の実感染者数の移動平均増加率は-1.4%) 医療体制が正常化するのはまだずっと先だ。
福岡県の今後の予測.png
沖縄は外出自粛しない若者が押し掛けたためか、まずい状態が続いたが、ようやく24日ごろから感染者数の減少が始まった。
沖縄県の推移.png
 実感染者数も移動平均増加率は直近で-0.8%で減少局面に入っている。しかし当初の医療限界である第2種感染症指定病院の病床数まで入院数が減るには時間を要するだろう。
沖縄県の今後の予測.png

 佐賀県は直近の1週間で感染者が急増して当初の医療限界(指定病院の病床数22)を超えてしまった。28日時点の入院等の数は31だ。これらの人が退院(または陰性化)するまで3,4週間はかかるだろう。したがって残念ながら自粛解除はお預けになる。
佐賀県推移.png

熊本県や大分県は医療施設や介護施設でクラスターが発生したが、クラスター自体は収束している。
熊本県の推移.png大分県の推移.png
 熊本県も大分県も入院数は既に当初の医療限界(指定病院の病床数)に収まっており、医療体制は正常化している。1週間後に外出制限などは解除できる見込みだ。
 このほか長崎県、宮崎県、鹿児島県は感染者発生数がそれぞれ16人、17人、10人と少なく、現時点(28日時点)の入院の数も当初の医療限界に十分収まっている(長崎、宮崎、鹿児島の順に6人、7人、6人)ので、今後何もなければ5月6日には外出自粛、営業自粛などは解除できるだろう。
 各県知事はどの程度解除するのか、何は継続するのか、医師会や教育界、経済界と協議して自主的に決めていけばいいと考える。

 ただし、長崎県は感染者がすでに148人出ているイタリア船籍のクルーズ船の乗組員をどうするかは大きな問題だ。船内は換気のない空調なので乗員を船室に放っておけば全員が感染してしまうと予想される。福岡、大阪、東京といった先進医療が期待できる自治体はみな手一杯でとても人の手伝いができる状況ではない。本来一番経験があって医療キャパシティに余裕がある中国に丸ごと引き取ってもらうのが簡単で良いが、筆者は中国共産党に借りを作るのは気に入らない。
 そこで軽症・中等症者だけでも神奈川に引き取ってもらうよう依頼したらどうか?神奈川にはダイヤモンド・プリンセス号のDMATの経験がある。同じくプリンセス号では愛知の藤田大学附属病院も貢献しているので問い合わせるべきだろう。失礼だが経験のない長崎県や九州各県がこの先うまくやれるとは思えない。国内で引受先がなければ中国に頼むしかないかもしれない。陰性反応の乗員もとにかく全員を丘に上げてホテルで隔離すべきだ。14日間隔離して問題なければ出国できるが、船長や一等航海士が入院してしまったら船を出せないかもしれない。そもそもイタリアが日本に対して対応を依頼してきているのだから、できるなら国内で対応してやりたいところだ。しかし、日本政府は国内事情から断ることが可能なので、そうなればイタリアが中国に依頼することになるだろう。そもそもイタリアは今回の医療崩壊で中国にいろいろ借りを作っているのでそれが増えるだけのことだ。日本は関係ない顔をしていてもおかしくない。


11.知事たちに対して
 筆者が主張しているのは、
県知事というのは自治体のリーダであって、あるべき当然の姿は、自分で考えて明確なビジョンで自治体を引っ張っていくものだという事だ
国の顔色を窺い何か指示してもらうまで何も考えず何も行動しないような知事など絶対あり得ないし、そんなものはいらないということだ。
 緊急事態宣言の第一次終了期限5月6日まであと1週間ある。この1種間の間に徹底的に考えて、あらゆる協議をして、準備を進めておいてほしい。そして5月6日の時点には各県民に対して自分たちはどうすると明確に説明してほしい。という事だ。
自治体のリーダーとして当然ではないか?

 一般論として日本の地方自治が弱いのはみな上(国)を見上げながら仕事しようという自立心のない連中で、自分の力で考え抜くという姿勢がないところに起因すると考えられる。法律がこうだからこれができない、あれもできない、ではなく、法律がおかしいと思えば厚労省にたてつけばいい。第2種感染症患者は全て入院しなければいけないなどという法律を振りかざしていたら、現場が持たないなら韓国や諸外国でやっているように軽症者をホテルに隔離すればいい。こういう国家の非常事態にあっては、そういう突き上げをして不都合な部分を自分の力で変えていかなければならない。PCR検査は全て厚労省の息のかかった保健所を通さなければいけない、などという官僚のエゴは捨て置いて、県が民間検査会社と契約してどんどん自主的にPCR検査をすればいい。そういう思考力、決断力、行動力こそリーダーが持つべき資質だ。安倍も小池も周りを見渡すか上ばかり見ていて全く話にならない。しかし少なくとも北海道や大阪の若い知事はどんどん発言して地域住民をリードしているし、神奈川の県知事は「神奈川モデル」をぶち上げて県内の医療体制をうまく構築した。各県知事は上ばかり見ていないで自分の力で考え、地域を引っ張るよう行動していただきたい。それが当然の姿だと筆者は考えている。

 学校を再開するにはどうすべきか、教室は1時間毎に5分間、1度換気するのか、出入り口と窓をずっと開放していくのか。35人クラスでは子ども同士の間隔を2m開けることができない。ではどうすればいいのか。クラブ活動はどうするのか。文科系、体育系のクラブの問題点はどう解消できるか… 
 1学期を9月に延期しても何の問題解決にもならない。必ず秋又は冬に第2波(あるいは第3波)が来て緊急事態宣言が出ることが予想されるからだ。4月~8月を休校にした上にさらに秋冬も休校になったらどうするつもりなのか?本質的な解決は学業に関してはオンライン授業しかない。PCやアイパッド、スマホなどのITツールと回線契約のない子どもがどれだけいるのか? ツールの標準化などあとからでいい。子どもの教育は憲法で定めた義務であり、文科省が指示するまで口を開けて待っているわけにはいかない。ぼーっと生きていずに、頭をフル回転してコネでもなんでもフル活用して行動を起せ。中国や香港、シンガポールではとっくにできているオンライン授業がなぜ日本でできないのか? 何をやっているんだ現場は。

 上から指示される前に自分たちで解決策を作って動いていけば、よその地域の動きで良いものや成功例を取り入れながらお互いに良くなっていくだろう。台湾などは学校も職場もずっと続いている。成功している国で参考にできるところは参考にすればいい。



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