医療体制で見る各都道府県の状況

 政府は根拠も基準もろくに示さず、非常事態宣言を全国で継続にしたり、特別警戒都道府県などを適当に決めたりしている。
 筆者ははっきり言って政府のいう事も、厚労省が連れてきている感染症専門家の言っていることも全く信用していない。
 人との接触を8割減らせなどと実現不可能なことを言い続けるよりさっさとPCR検査数を増やすべきだ。PCR検査数を倍にすれば隔離すべき人をより多く隔離でき、人との接触を5割に抑える程度でも感染はより早く終息するという試算がある。今回の新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)はSARSとは致死率も感染力も違うのでSARSと同じやり方でクラスターだけ追いかければ済むというシナリオは間違っていたし、厚労省もそのお抱え専門家連中も国民を危険にさらしていることについて謝罪すべきである。厚労省がPCR検査は全て保健所を通せと指示したり、熱が出ても4日間は家にいろ、帰国者接触者窓口に電話しろ(電話が通じない)、などと不適切なことを指示した責任は重大だ。

 さて、何をもって地域ごとの感染拡大を「終息」とするかは多少議論があるだろうが、筆者が考える「外出自粛解除」「営業自粛解除」は医療体制が「戦時」から「平時」に戻ったかどうかだ。つまり、「都道府県の入院患者数が第2種感染症指定病院の病床数を下回ったかどうか」という事が医療体制が正常化したかどうかの端的な指標になる。厳密にはICUの空き率がどれぐらいかも見る必要があるが、どの都道府県もそういう数字は公表していない(正直日本ではICUの稼働率は低いが、ほとんどは一般病床にある)。しかし実感染者数(入院数+自宅又はホテル療養者数の数字。感染者総数から死者数と退院数、自宅又はホテル療養終了数を除いて計算できる)、または入院者数は公表されているので、そこから現時点の医療体制を判断することができる。
 医療体制が「戦時」にあるのに「自粛解除」するという事は、いざクラスターが発生した時に、すぐに現場が混乱してしまう。ベッドが空きが出るまで中等症/重症の感染者が入院できず治療を受けられなくなったらどうする?救急医療施設の廊下にベッドを並べろというのか?いまだにPPE(N-95マスク、フェイスガード、防護服などPersonal Protection equipments)が不足している現場が死んでしまう。やめていただきたい。

 各都道府県とも感染拡大に合わせて感染者用の病床を増やしてきたが、それらの99&は陰圧室でもなんでもない一般病棟の一般病室だ。本来は病棟丸ごと感染者専用にしなければいけないが、それまで入院していた患者を全部別の病院に転院させることなどたやすいことではなく、ほとんどは一般患者と感染患者がまぜこぜになっていて、ひどいところは通路を隔てて右が一般用病室、左が感染者用の病室などとしている。病室のウィルスは飛沫が床に落ちるので靴について通路も汚染され、それが舞い上がっていくので、院内感染を起こさないで済ます方が難しい。こういう状態は「戦時」であって正常な医療体制ではない。というわけで、感染した入院患者が全てきちんと対策された出入り口も異なる専用病棟の専用病室、すなわち第2種感染症指定病院の病床に収まるようになれば、正常な医療体制に復帰したといえるわけだ。専用病棟の病室は陰圧室でウィルスをろ過してから換気するだけでなく、洗面所やトイレの排水も別系統になっていて排水も消毒するようになっている
 なお、第2種感染症指定病院は陰圧室になっている結核患者の病棟もあるが、そこのあきベッドにコロナ感染者を入れるのはNGである。現在でも全国で2000人ほどの結核患者が入院しているので、結核患者がコロナに感染するのもその逆もとんでもないことになってしまう。

 以下自粛解除可能な都道府県を上げていくが、前提条件として、自粛解除といっても非自粛解除の都道府県への出入りは原則禁止にしなければいけない

 次図のように、日本全体で感染者発生数が減少しているのは間違いない。(データはWorlsometer”COVID-19 Coronavirus Pandemic”の日々のデータによる)
日本国内の感染者数退院数死者数の推移.png

 また、入院数と自宅又はホテル療養者の合計を表す実感染者数も確実に減少傾向にある。
日本国内の実感染者数の推移.png

 では都道府県別ではどうだろうか?
 見たいところは直近の入院患数であり、それが都道府県それぞれの第2種感染症指定病院の病床数を下回っているかどうかだ。それを以下のように表にしてみた。表中、「陰圧室」はもともとの都道府県ごとの第2種感染症指定病院の病床数で、一般は今般拡張された感染者用病床数を表す。(都道府県ごとの第2種感染症指定病院の病床数は厚労省の資料「第二種感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)」による)
 各都道府県の実感染者数は厚労省の日報「各都道府県の検査陽性者の状況(空港検疫、チャーター便案件を除く国内事例)※」から感染者数-退院数-死亡数で求められるもので、その時点の入院者数+自宅又はホテル療養者数である。感染者が少ない県では自宅やホテルを使わず全て入院させる体制のところもある。入院患者数は各都道府県のHPに出ているものはそれを用い、出ていないものはNHKが4月28日に出した「新型コロナ対応のベッド数と入院患者数」の各都道府県の入院必要数とその時点の実感染者数から入院させる比率を出してその比率で推定している。次の欄は直近1週間の発生感染者数である。一番右の欄は自粛解除可能かどうかを〇✖で示した。
(※5月7日以前は「新型コロナウイルス感染症(国内事例)の状況(PCR検査陽性者数の累積)」というものだったが、各都道府県のHPの数字との乖離が大きくなりすぎ、取り繕いようがなくなって体裁を変えて作り直したらしい。それでも各都道府県のHPの公式数字と違いがまだある)
表1(1).png
 北海道は一般病室に入院している患者が200人以上いて、まだ正常な医療体制には程遠い。直近1週間でも63人発生している。なので✖だ。
 青森から福島までの東北はまったく正常であり、ある程度自粛解除して感染が増加した時点でまたしめれば十分対応できる。
なお、秋田県、愛知県、滋賀県の3県の直近の発生感染者数は厚労省データでは引き算をするとマイナスになっていた。発生感染者数は累積なので死者が出ようと退院しようと減ることはないのだが、集計の訂正なのかもしれない。増加なしと考えゾロと記した。
 群馬県は実感染者は61人だが、入院患者は51人程度と推定される。第2種感染症指定病院の病床数が50なので、ぎりのところだ。ちょっとしたクラスターが発生しても再び一般病床を感染者用にさかなければならない。一般病院での感染者の混在へのオペレーションは大変複雑で神経と資材をすり減らす。県の医師会からもう少し待ってくれと言われれば、知事もあと1週間待つしかないだろう。栃木県は解除に問題ない。
 茨城県は実感染者数は陰圧室の病床数をオーバーしているが約半数は自宅又はホテル療養者数なので、入院患者は第2種感染症指定病院の病床数に収まっており、解除可能だろう。

 東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏は入院患者数が第2種感染症指定病院の病床数をまだまだ上回っており、自粛解除はできない。
神奈川、千葉、埼玉はそれでも5月中に何とか陰圧室の数だけに減少しそうだが、東京だけはそういう基準ではあと20日足らずではとても無理に思える。筆者の個人的な予想では東京だけが最後まで自粛要請を続けなければいかなそうだが、困ったものだ。たとえ6月になって神奈川、千葉、埼玉が自粛解除になっても、それら3県からの東京への通勤はNGという事になる。日本の大半の地域で医療体制が正常化しても首都だけが「戦時」なために、首都だけは出入りしてはいけない、という事態になったら日本の経済活動はその中心に大きな障害を抱えることになる。
 山梨、長野もただちに自粛解除しても問題ないだろう。

次に三陸、中部、関西の府県のデータを示す。
表1(2).png
 新潟県は正常な医療体制であり、自粛解除して問題ない。
 富山県は特別警戒何とかから外されていたが、特別警戒に入っていた石川県同様、正常な医療体制には程遠く✖である。この2県はもともとの第2種感染症指定病院の病床数が少なかったので、ほとんどの感染者を一般病院で対応しなければならず、地域医療の核となる富山市民病院での大規模な院内感染発生など、医療関係者も県民もかなりつらい思いをしたと思う。
 福井県も一時は心配されたが、無事に実感染者ゼロにこぎつけた。医療関係者はほっとしているだろう。
 静岡県も問題ない。
 岐阜県は特別警戒都道府県に入っていたが、今や実感染者の数が第2種感染症指定病院の病床数を下回っており、正常化している。
 愛知県も直近1週間は感染者発生数はゼロだが、医療体制の正常化まではあと少しであり、✖である。それでも県の医師会がOKというなら、自粛解除してもいいかもしれない。
 滋賀県、奈良県、和歌山県は入院患者数が第2種感染症指定病院の病床数を下回っているので自粛解除できる。奈良県は数字はギリギリだが実感染者には無症状感染者もいてホテル隔離も実施しているので、ベット数には空きがあると思われる。自粛解除は可能だろう。

 京都府、大阪府、兵庫県はまだ正常な医療体制になっていない。特に大阪府は一般病棟への入院数が300人以上いるはずで、医療体制の正常化への道のりはまだ遠いと考える。京都府、兵庫県は5月末までに正常な範囲まで入院数が減る可能性は十分あると思う。
 鳥取県、島根県は自粛解除しても何ら問題はない。

次に中国地方の残りと四国、九州地方のデータを示す。
表1(3).png
 岡山県は問題ないが、特別警戒でなかった広島県は現時点では✖である。入院患者数(推定)が第2種感染症指定病院の病床数を大きく上回っている。
 山口県と四国4県は全て実感染者数が一桁であり、直近1週間の感染者発生もなく、正常な医療体制であり、自粛を解除してなんら問題ない。
 福岡県は医療体制の正常化まであと少しだ。5月中には自粛解除できるだろう。佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県も医療体制は正常であり、自粛解除できる。
 沖縄県は特別警戒何とかに入っていなかったが、まだ一般病室の入院患者が14人ほどいて、「戦時」である。ただこのままいけば、5月中には医療体制は正常化するだろう。


(5月14日追記)
 5月14日、日本政府は39県について「緊急事態宣言」を解除したようだ。相変わらず明確な基準は示されず、訳が分からないことを言っている。そのなんとか宣言解除に何の意味があるのか知らないが、自粛要請をしているのは都道府県であり政府が何を言おうと今後どのように自粛を緩めていくかを決めるのは都道府県である。
 地域経済としては1日でも早く自粛解除してほしいところだろうが、これで場末の居酒屋まで元に戻るわけではないだろう。一般に居酒屋であろうと高級クラブであろうと酒を飲む場所は換気システムは劣悪で、人が密集してマスクをせずに会話し、時には騒ぐような場所だ。クラスターが起こる3条件が全てそろっている。数か月前の時のように営業したらたちどころにクラスターが発生してしまう。だから、おそらく客もそれを恐れてそこまで客足は戻らないだろう。パチンコ屋はギャンブル中毒症の人たちが集まるらしいからアルコール中毒の連中は何が何でもの診に行くのかもしれないが… もはや国民全員がワクチンを接種するようになるまでは、数か月前の日常は再現されないと考えるべきだ。居酒屋バー、キャバレー、食堂、レストランあるいはスポーツジムなども地域経済の担い手だが、新型コロナ禍が本当に終息するまでは、長くかかり、かなり潰れていかざるを得ないと予想される。客を半分までしか入れるなといわれれば大抵の外食産業は結局もたないのではないか?

 さて今日の時点では13日時点のデータが入手されているので、上の記事で「自粛解除✖」となった都道府県の13日の状況をグラフで示しておく。上の記事で愛知県、広島県、福岡県、沖縄県は(11日時点では)まだまだといっていたが、13日時点のデータでは医療体制はきれいに「正常」に戻った。これは追記しておかないといけない。
 ただし、富山県、石川県には何の恨みもないが、自粛解除はまだ早い、とはっきり言っておく

 次のグラフは5月13日時点の北海道のこれまでの推移と今後の予想。実感染者数の増加率(移動平均)のみ左軸で、あとは右軸の目盛りで読む。
灰色の曲線は実感染者数の推移だが、無症状者、軽症者は入院せず自宅やホテルで隔離静養するのでそのうち入院数を黒の点線で示している。PCR検査で陽性と出た感染者のうち何%を入院させるかはそれぞれの医師の判断だが都道府県によって結構違いがある。北海道では陽性者の平均77%を入院させている。5月14日以降は直近3日の中で増加率の最も大きいものと小さいもので予想曲線を引いたもの。
北海道.png
この図を見れば北海道の入院者数が第2種感染症指定病院の病床数におさまるようになるにはまだまだ時間が必要なことが分かる。

次の図は東京都のもの。途中で実感染者数が不自然に減少しているのは厚労省のおかしな集計が東京都のHPよりに修正されたため。
東京都.png
東京都は第2種感染症指定病院の病床数まで減少させるのには1か月はかかりそうに見える。

 神奈川県、千葉県、埼玉県は上の2つより随分ましで、入院者数が5月末までに第2種感染症指定病院の病床数レベルに減少するのは難しくない。ただし、14日の今日も神奈川と愛媛で病院の院内感染によるクラスターが発生したが、院内感染が大きいと後ろにずれてしまうだろう。
何度も書いてしつこいようだが、一般病棟に感染者を混在させるのは常に院内感染のリスクと隣り合わせであり、非常に危険なことだ。病院ごと、病棟ごとに分けるべきなのだ。
 神奈川県.png
千葉県.png
埼玉県.png

 北陸の富山県、石川県はまだ医療体制は正常化していないが、5月中には正常化できるかもしれない。
富山県.png
石川県.png


次の愛知県は入院者数が第2種感染症指定病院の病床数を下回り、図からも正常な医療体制に戻ったことが分かる。
愛知県.png

 兵庫県、京都府はあと一息というところだ。
兵庫県.png
京都府.png
 大阪府も5月中には「正常な医療体制」に戻れそうだ。
大阪府.png
 (★15日追記修正) 
 次の広島県は15日時点の広島県HPで入院数が25人となっていて医療体制は「正常」に滑り込んだ(第2種感染症指定病院の病床数は28)。広島県.png
 上に書いたように、福岡県と沖縄県も13日時点のデータで医療体制はめでたく「平時」にもどったところだ。
福岡県.png
沖縄県.png

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