日本の外出自粛解除はいつ頃か?

 現在の緊急事態宣言は5月6日までの期間限定だったが、それを延長するかどうか議論になっているらしい。
日本は法的拘束力がなく罰則規定もなく、ゆるゆるなので心配されたが、大多数の国民は「外出自粛」を守っており、日々の感染者発生数は減少に転じている。
 次の図は東洋経済新報社HPによる日本国内の感染者数の推移(クルーズ船を含めず)。
日本国内の感染者数推移.png
 日々の感染者発生数はピークアウトしているが、まだ退院数、死亡数はこれから増える見込みだ。つまり、病院には患者があふれており、一般病院は感染症の専門でもない医師や看護師たちが感染の恐怖と戦いながら寝る間も惜しんで仕事する戦場と化している状態だ。こんな状態では「外出自粛」は解除できない。解除して感染者が再び増えた時に入院できるベッドが空いていない状態だからだ。(上のグラフは日々のデータそのものをプロットしているので滑らかさに欠ける)

 どのぐらいになれば解除できるのか、海外の事例をみると分かる。
次の図は優等生のオーストラリアと外出禁止が解除されたばかりのニュージーランドの例だ。(データはWorldometerによる。生データを5日間の移動平均をとって傾向を分かりやすくしている)
オーストラリアの感染者数推移4月末.pngニュージーランドの感染者数推移4月末.png
 どちらの国もブルーの線の感染者発生数は完全に減衰していてかつ、グリーンの線の退院数の山もピークアウトし大きく減少している。直近の感染者発生数はオーストラリアで8人、ニュージーランドで4人と十分少なく、かつ、感染者数から退院数を引いた入院中ないしホテル/自宅隔離中の人数はオーストラリアで1079人、ニュージーランドで245人だ。この数字が医療キャパに対して十分に低いと判断できれば「外出禁止」「営業停止」などの措置を徐々に解除することができる。両国での第一波はほぼ収束というところだ。
 最終的にはブルーの山の面積はグリーンの山(退院数)の面積とオレンジの山(死者数)の面積を足したものになる。ただし、見やすさのため死者数のみ右軸で1/10目盛りなどにしている。


 日本についてWorldometerのデータを上と同じように移動平均をとってグラフ化すると次図のようになる。
日本の感染者数推移WOM4月末.png
 日本がオーストラリアやニュージーランドのようになるためには、この先感染者発生数のブルーの線が順調に減衰していくことと、退院数のグリーンの線がピークアウトし十分下がっていくことが必要だろう。二つの国の例では退院数の山は始まりから終わり(近く)までに24日間ほどかかっているので、日本がこれらの国のレベルになるにはまだ20日以上かかりそうだという事が分かる。
 ただし、集計の確認の問題によって厚労省と都道府県の集計に差があり、それがまだ国レベルで反映されていない。例えば東京都の退院数は4月28日時点の厚労省資料では59人だが、東京都のHPでは1261人となっている。この自治体数字の確認と反映が進めば実は退院数はもっと多くなり、グリーンの山の後半の期間は短くなるかもしれない。というのは、グラフ上で日本の退院数の増加は(多くの国に比べて)遅すぎるのだ。タイ、ベトナムどころかパキスタンやカザフスタンより劣るPCR検査数といい、日本の厚労省官僚とその手下の地方役人の連中の仕事のグズさ加減は世界でも抜きんでているといっていい。

 東アジアでは台湾、香港やベトナム、タイも以下に示すように新規感染者数はゼロか一桁であり、第一波はほぼ収束している。
台湾の感染者数推移4月末.png
香港の感染者数推移4月末.png
ベトナムの感染者数推移4月末.pngタイの感染者数推移4月末.png

 以上の国々は収束期の末期なのでもう死亡者はほとんど出ないと考えられるが、死亡率が世界の中で際立って低い。オーストラリア1.3%、ニュージーランド1.3%、台湾1.4%、香港0.4%、ベトナム0%、タイ1.8%。欧米では筆者が知る限り死亡率が1%台なのはルクセンブルクとクロアチアだけだ。医療先進国のドイツ、スイスでさえ現時点で3.5%、5.7%だが死者はまだ増えそうという情勢だ。
 なぜ東アジア・オセアニアの国々はこれほど死亡率が低いのか?(ただし日本、フィリピン、インドネシアを除く)これは新型コロナウィルス感染症の未解明の重要な疑問だ。BCGワクチンでは説明できない。(そもそもワクチンでできた抗体が何十年もあとになって違う病原体に効果を発揮するという説明はおかしいが)

 欧州諸国でも第一波の収束期にある国々がある。
次に示すのは欧州で死亡率の点で最も優秀なルクセンブルクとクロアチア。
ルクセンブルグの感染者数推移4月末.pngクロアチアの感染者数推移4月末.png
 ルクセンブルクは集計上の問題か、あまりなかった退院数がある日突然1000人、2000人とカウントされたためおかしなグラフになった。クロアチアはきれいな形になっている。直近の感染者発生数はルクセンブルクで28人、クロアチアで15人。感染者数から退院数、死亡数を引いたまだ治療中又は隔離中の人数はルクセンブルクで546人、クロアチアで707人となっている。その数が国の医療キャパに対して十分少なく余裕があると判断できれば、外出禁止や営業停止を徐々に解除できるだろう。

 オーストリアやチェコもあと1週間かもう少し後で解除できるレベルになると予想される。
オーストリアの感染者数推移4月末.png
チェコの感染者数推移4月末.png
 直近の感染者発生数はオーストリアで45人、チェコで75人。感染者数から退院数、死亡数を引いた数字はそれぞれ2043人、4244人となっている。入院している人がこれらの半分以下になれば医療キャパにも余裕ができるだろう。

 ドイツやイタリアが部分解除を検討しているというが、筆者には驚き以外の何物でもない。
ドイツは次図のように確かに収束期だが、まだまだ入院患者が多いと思われる。
ドイツの感染者数推移4月末.png
直近で、ドイツの新規感染者数は1600人もいるし、入院又は隔離(ドイツの場合は自宅静養)の人数は4万人を超える。こういう状況で街に人が出て行って感染がまた広まっても大丈夫なほどドイツの医療キャパシティは大きいのだろうか? 信じられない。

 イタリアは(Worldometerのデータによる限り)まだ無理だ。
イタリアの感染者数推移4月末.png
 直近のデータでは感染者発生数は2000人を超えていて、入院中または自宅静養中の人は10万人以上もいる。ただし、Worldometerのデータが誤りで本当は多くの人が退院しているか死亡しているというなら分からないでもないが、なにしろ医療キャパシティは日本より小さい。議論するのは勝手だが、入院患者が1000人程度に落ちるまで当面無理だろう。

 米国でも無謀な議論が起きていて、デモも起きている。そのうちコロナにかかってもいいから労働させろと暴動が起これば当初の予想通り、というところだ。国全体としては次図のようにまだ収束期に入ってもいない状況だ。
米国の感染者数推移4月末.png
あるいは州によってはかなりの違いがあるのかもしれないと、プログラムを書いて全米各州の上と同様のグラフを作ってみたが、収束期にあるとみられたのは次のLouisiana州ぐらいだった。それでも新規感染者は370人と日本全体より多い。米国は州の自治権が大きく、大統領に関係なく意思決定できる。
Louisiana州の感染者数推移4月末.png
(TotalCaseは感染者発生数、ActiveCaseは退院、死亡を除いた実感染者数、TotalRecovは退院数、DeathCaseは死亡数の意味)
Geogia州の州知事は非常事態宣言解除といっているらしいが、次図のようにとんでもハップンである。
Geogia州の感染者数推移4月末.png
どう逆立ちして見てもまだ収束期に入ったばかりで、(退院数が確かなら)病室は病人でいっぱいなはずだ。宣言解除など不可能な状況だ。

 以上、国レベルで見るとに本はまだまだだが、米国以上に日本国内でも地域差はかなりある。その点の考察は次のブログに譲る。

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